グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ38)

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「とにかくごめんね、ラキオ……そろそろ部屋に戻るね」

一通り〝銀の鍵〟の感想を聞かれ、罵られた後、私はラキオに謝って部屋を出ようとした。

此処は私の部屋じゃないからさっさと出た方がいいだろうし……これ以上此処にいたら何て言われるか分からないし。

ラキオも聞きたい事が聞けて満足したのだろう。
薄く笑みを浮かべて見送りまでしてくれた。

「……あぁ、そう言えば」

「え、何…？まだ何かあるの…？」

ふと、出て行く直前にラキオが口を開いた。

まだ何か言い足りないのだろうか。
こちらとしてはもうお腹いっぱいだったけど、一応立ち止まって振り返ると、ラキオは不思議な事を言い出した。

「昨日はよく寝れた？」

「……？まぁ、うん……多分」

「ふぅん……そう」

「……？」

ラキオの言っている事はよく分からなかった。
分からなかったけれど、私は素直に頷くと、ラキオは何か含みのある笑みを浮かべてから「もういいよ」とハエでも払うかのようにシッシッと手を払った。

ワケが分からないまま、私は部屋を退出する。

……？純粋に気になっただけ、なのかな……？

でも言われてみれば、今日はいつもより調子いいかも。

セツがいなくなった後はいつも嫌な夢を見るから、次の日のコンディション最悪なのに。

たまたま……なのかな？