グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ28)

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沙明が聞いたら間違いなく羨ましがるだろうな。
こんな美人さんのこんな表情見れただなんて。

写真撮って毎日眺めたい。

しないけど。

「……ごめんね、ステラさん」

ゆっくり、彼女に顔を近付けて、耳元で囁く。
囁いてから俺は彼女の唇＿＿＿＿

……ではなく頬にキスをすると、すぐに彼女から離れた。

「……？……？？」

俺が離れた後、ステラさんはパチッと瞼を上げると、少しの間パチパチと目を瞬かせるだけで、キョトンとした顔をしていた。

きっと彼女は口にすると思ったんだろう。
徐に俺がキスした頬に触れ、またパチクリ目を瞬かせると、困惑した顔で「A様…？」と首を傾げた。

「いや…ほら、言ったでしょ？こういうのは好きな人としなきゃ、って。ファースト……なのかは分からないけれど、もし初めてなら大事にしなきゃ。

それに、何処に(・・・)して、とは言われてなかったからさ？俺がしたかった所にしたんだ。ごめんね」

正直に話して思わず苦笑いを浮かべると、ステラさんはポカンとした顔で俺を見遣る。

あれ……やっぱり唇にして欲しかったのかな。
いやいや、流石にそれは勇気いるって。
今だって精一杯勇気出したんだゾ。

……って、思い出したらやっぱり恥ずかしくなってきた。

そんな照れを誤魔化すように。俺はステラさんの頭をポンと撫でた瞬間、ブワッとステラさんの顔が真っ赤に染まり、ステラさんは口をパクパクさせながらその場に崩れた。

「〜〜〜〜〜っ！！」

「え、ちょっ、ステラさん！？大丈夫……って扉開いた！？」

急な事に俺も膝をついたそのタイミングで、なんと今まで頑なに開かなかった物置の扉も開いた。

何故開いたのか分からないし、LeViに聞いても応答ないし。

ただ、まるで本当に『キスをしないと出られない部屋』にいたかのようなタイミングだった。