グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ26)

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「も、もしかしたら……キス……をしたら、出られるかも……しれません…………」

……………ん？俺の聞き間違いカナ？？

声が途中、ちっちゃくなって何言ってるか上手く聞き取れなかったんだけど……〝キス〟とか言いました？？いや、そんなまさか。

こんな場面でステラさんがふざけるわけ……

「その……一昔前に、そういう内容の書物を読んだ事がありますので……もしかしたら、と……」

……聞き間違いじゃなかったみたい。
乙女の顔してもじもじするステラさんに俺は思わず呆然としてしまう。

それって……アレか？『キスしないと出られない部屋』的なアレか？確かに流行ったよな、そんなネタ。他にも色々な部屋があったよな、そのネタ。凄いのだと18○もあったよな、そのネタ。

まぁ……確かに、シチュエーションは似てるっつーか。
人が2人。狭い室内。助けもなく、扉も開かない。

強いて違いを挙げるなら、ベットがない事かな。

「そんなファンタジーな……多分、LeViの方の不具合かなんかだと思うよ、ステラさん。だから少し待と？」

「あ……」

とりあえず我に返って、俺は冷静にそう言って聞かせた。

ステラさんもきっとこの状況にパニクって変な事言い出してるんだ。それとも、もしかしたらこの場を和ませてくれようと彼女なりに考えてくれたのかもしれない。

とにかく、少しすればLeViが解決してくれるだろうから。

ステラさんはそっと俺から視線を外すと、しゅんと肩を落として項垂れる。

……なんか、そんな反応されると期待しちゃうな。
俺とキスしたかったのかな、なんて。

ちょっとドキドキして来ちゃったゾ……

－－－

とりあえずLeViからの返答を待って、どれくらい経っただろう。

あれからLeViはうんともすんとも言わなくなって、ただ気まずい時間だけが流れていた。

ステラさんはあれから一言も発する事はなく、ただ時々チラチラと俺の方を見ては何故か悲しそうな顔をするので、こっちも気になってしょうがなかった。

そのせいでもどうもギクシャクして、何か話そうとしたら変に緊張して言葉が出なくて。
この状況をどうにかしたかった俺は、遂に口を開いた。

「LeVi、その……どうかな？原因、わかった？」

『…』

「…LeVi？」

LeViに進捗を尋ねてみたが、何故かLeViは応えない。
しん、と静まり返り、俺は首を傾げてもう一度尋ねるけど、やっぱり返事はなかった。

……えっ、コレってもしかして、ヤバい？