グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ19)

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底の底に沈め【オトメ】ページ19

・主人公が人外(人魚
・夢主≠主人公
・沙明が可哀想

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議論が終わり、水質管理室の傍らにあるプールの中へ。

底で寝転び水面を見ながら、オトメと秘密の作戦会議。

『今日も俺達、疑われなかったね』

『キュッ、皆さん信じてくれて嬉しいの！優しいの！』

『オトメは単純だなぁ』

俺は人魚で彼女はシロイルカ。
陸にいるより水中が好き。

水の中での会話は陸の人間には分からない。
だって陸の人間はエコーロケーションなんて出来ないだろう？

だから、どんなお話でも話せるんだ。

『あぁ、でも俺、沙明に嫌われてるっぽい。
何かしたかなぁ、俺』

『沙明さんはAさんを警戒してるっぽいのです。沙明さんはちょっとだけ臆病、みたいだから』

『……俺ってやっぱ怖い？』

『Aさんは大きいですからね。初めて会った時はあたしもビックリしました！』

言いながらキュキュッ、と笑うオトメ。

釣られて俺も笑ったら、オトメはおもむろにぐるぐると俺の周りを泳ぎ始めた。

『あーあ、早くこんなバカバカしい議論なんてやめにしてほしーよ。いちいち陸に上がるのも面倒だし』

『そうですか？あたしは陸も好きなのです！陸には人間さんがたくさん、たくさんいるのです！』

『俺はイヤだよ。尾びれじゃなくて2本の足で歩かなきゃいけないし。浮けないし、沈めないし、オマケにうるさい。メシは美味いケド』

『Aさん、反物質スナックばっかり食べるのはめっ！なのです。ジナさんにも心配されていたのです。そんなモノばかり食べていたら、太っちゃいますよ？』

聞きたくないなぁ、そういうの。

ゴロンと寝返りを打って尾びれをヒラヒラさせると、オトメはまたキュッキュッと笑う。

何が楽しいんだろう。
分からないけど、彼女が楽しそうにしてるなら、それでいいと思った。

『食べるならお魚さんがオススメなのです！
……此処にはないですけど』

『俺の場合、それ共食いだからなぁ』

『キュ！？そ、そうでした、Aさんは人魚さんなのでした……ごめんなさい』

『気にしてないからいーよ。俺もたまーに食ってたし。人間だって同じ哺乳類食ってるんだろ』

彼女が楽しければ。

笑ってれば、それだけで良かったんだけどなぁ。