グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ17)

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「……」

「1番はオレが戦地に行きゃイーんだろーケド、身軽なだけなオレが行っても足手まといになるだけだ。
なら、オレの特技で金にして解決するしかねーだろ？それでレムナンがいない分の損害が補填できるなら。

……まぁ、それでも足りねーってんなら、もう何でも言えよ。囮だろーがスパイだろーが、どんな危ない仕事でも引き受けてやるよ」

普段は命の危機に瀕するような事は絶対引き受けないが、今回ばかりは仕方ない。レムナンが怪我で動けない間、文字通りボロ雑巾のように使われたって構わない。

そんな覚悟でオレはラキオにそう言ってやると、ラキオはポカンとした顔でオレを見た後、盛大に溜息を吐いた。
わざとかって思う程のどデカい溜息の後、頭を抱えて1度オレを見遣り、また溜息を吐く。

……なんか、ムカついて来た。

いや、そりゃオレは盗み以外取り柄がないんだろうけどさァ……そう、あからさまに態度に出されても。

「相っ変わらずだね、君は……」

「……ごめん」

「あぁ、本当に。君の後先考えない自己犠牲の精神は今に始まった事じゃないけれど、今回の場合は特に酷いね。君なんかがレムナンの代わりになれると思っているの？おめでたい頭だね。レムナンの代わりなんて最初からいないンだよ。少し考えれば分かるだろう？」

「だっ、だから！代わりにはなれなくても、せめて少しは役に立とうと…！」

「そもそも、そう考えるのが間違いだ。君には君の役目があって特技があるンだろう？なのに敢えてそれらを捨ててまで人の役に立とうだなンて。勘違いも甚だしい。役に立つどころか邪魔をするだけだ。もう少し頭使いなよ」

「だァァァ！！じゃあどーーすりゃイーーんですか？！どーーすりゃオレの失敗チャラに出来るかなァ？！」

「ふむ……そうだね……」

ラキオもラキオで相変わらずだ。
こっちだってハナから役に立とうだなんて考えてねーよ。それでも精一杯頑張ろうと思ってんだよ。
長々と説教垂れやがって。せめて気持ち汲めよ気持ちをよ。

……なんて、コイツに言った所で無駄か。
それよりオレの今後の処遇が気になる。

流石に今回のは好き勝手し過ぎたからなァ……最悪、追放されても可笑しくないかも。軽くても暫くこき使われるだろうなァ。でも此処追い出されるよりはずっとマシか。此処しか居場所ねーし。

半分祈る気持ちでオレはラキオの沙汰を待っていた。