かわいい再会 ページ18
「ま、真名部……くん？」
どれだけ時間が経ったんでしょう。
いえ、実際は14分42秒だったんですけれど。
体感はもう数時間は待ってましたね。
不意に声を掛けられ、僕は声のした方を見遣る。
すると少し離れた所で、愛らしいお人形のような姿の少女と目が合った。
僕と目が合うと彼女はすすす、とこちらに歩み寄りながら恐る恐ると言った様子で僕に尋ねた。
背の低い自分と目線を合わせる為か、若干腰を折り上目遣いで見つめられ、不覚にも僕の胸が高鳴った。
「は、はいっ…！ま、真名部陣一郎です！き、昨日会った…！」
「あぁ！そ、そうだ…ですよね？待ち合わせ場所、間違ってなくて良かった〜！」
彼女はホッと胸を撫で下ろすと「昨日振りです〜！」とはにかんだ。
愛らしいその微笑みに僕はグッとするモノを堪え、何とか声を絞り出して「昨日振りです…！」とオウム返しで返した。
……返してから、自分は何を言ってるんだと自分でツッコんだ。
「また会えるなんて、とっても嬉しい…です！
でも練習とかで忙しかったりするんじゃないんですか？」
「れ、練習は決まった時間にやりますし……終わった後は結構自由なので、それなりに自分の時間は作れるんです。なのであまり気にしないで下さい」
「そーなんだ！…です！じゃあまた次も会う約束、しちゃおうかな……えへ」
「っ…？！」
「な〜んて！まだ会ったばっかりなのに！」と彼女は冗談っぽく笑う。実際冗談のつもりで言ったのだろう。
でも僕は一瞬でも本気で捉えてしまい、内心恥ずかしくて堪らなかった。
「そ、それより…！折角会ったんですから！何処か一緒に行こう！……行きま、せんか？
とは言っても、あんまりここら辺詳しくはないんだけど……」
「え、えぇ、そうしましょう…！
えと……じゃあ、近くのカフェでお茶でもどうですか？」
「いいね！じゃなくて……イイですね！
行きましょ、行きましょ！」
僕の提案に彼女は賛成してくれて、そのまま行く流れとなった。
僕はもう彼女に再び会えたのが嬉しくて。
完全に浮かれていたのですが、ふと大切な事を思い出し、1度足を止める。
彼女も遅れて足を止め「どうしたの？」と首を傾げる。
僕はそんな彼女に今更、尋ねた。
「そ、そう言えば……アナタのお名前を、お伺いしてもよろしいですか？」
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