彼女はムカつく ページ18
何にも分かんないまま室内に戻った後、僕の身体はリラによってぐるぐるに毛布を巻かれ、1人暖炉の前の特等席に座らされた。
暖炉ではパチパチと程よい炎が揺らめく。
その中で大鍋いっぱいのシチューが温められていた。ゴロゴロと肉の入った奇抜な色のシチュー。肉はさっき僕が捌いたものを使ったんだろう。
リラがその鍋の中身をお玉でよそって器に移し、僕に差し出した。
「……………」
「……どうしたの、A？いらない？」
「いや、いるよ。いる、けど……」
「……？どうしたの？」
差し出されたお皿を受け取りつつ、僕は横目でゴウセルを見遣る。
ゴウセルは僕を見て不思議そうな顔をしていた。
首を傾げ、パチパチと瞬きをした後「もしかして、風邪でも引いた？」なんて言うから、思わず溜息が出てしまった。
…………コイツに裸、見られた。
いや、わざとじゃないのは分かる。
不可抗力なのは頭では分かってるんだけどさ。
それでもなんか……恥ずかしいというか。ムカつくというか。ぶっ刺してやりたくなるというか。
でもコイツが助けてくれなかったら、今頃僕は溺死していたかもしれないと考えるとそんなワケにもいかない。
寧ろ礼とか言う立場なのかもしれないが……素直に言えない。言いたくない。
つか人の裸見て平気でいるのがなんかムカつく。
別に気にして欲しいワケじゃないけど。ムカつく。何なんだ。
なので、ここは何も言わずにただ黙々とシチューを食べていると、ふとリラが僕に尋ねた。
「それで？Aはどうしてあんな深い所まで行ったの？」
「えっ？」
「ゴウセルの話だとかなり深い所まで行ったそうじゃない。どうして？何か見つけたの？」
「…………」
……リラの疑問は僕が1番知りたい事でもあった。
だって僕はそんなに深い所まで行った記憶はない。
確かにへそ位の所で水浴びしてた。
んで、ついでに服も洗おうとして
そしたら……次の瞬間には水の中だ。
一体、何があったんだろう。
「…………魚、」
自分でも分からないはずなのに。
何故だか口が、勝手に呟いた。
でも不思議とその瞬間、脳裏に浮かんだ。
僕が溺れる前、あの湖で悠々と泳ぐ魚の姿を。
僕のすぐ横をすぅ、と横切って、深い方へと泳ぐ姿を。
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＊IJu＊(プロフ) - [漆黒の堕天使]夜愛師刹羅さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです！自分も「さっさとくっつけばいいのに……」って思いながらいつも書いてます←？？ (2023年4月1日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
[漆黒の堕天使]夜愛師刹羅(プロフ) - こうゆうじれったい+自覚がないようなラブコメ……好み！！いやらしい雰囲気にしたくなります(余計なお世話？) (2023年4月1日 0時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)
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