＊ ページ22
『…ラキオ、やっぱり分かってないでしょ』
「えぇ？分かってない？？これ以上何を理解しろって言うの？？？」
『私がどうして怒ってたのか。分かってないでしょ？』
「はいはい、アレは僕の言い方が悪いんだろう？
それより今どこにいるの？迎えを寄越すからいい加減…」
『違う』
彼女が怒っていた理由は明白だ。
なのに彼女は違うと言う。
一瞬、何をほざいているのか分からなかった。
続けて言おうとしていた言葉も失い、僕はただ何も言えずに口を開いたまま閉じれないでいたら、Aは呆れたような顔をして言葉を続けた。
『あの日はラキオの誕生日だったじゃん』
「……はァ？」
『ラキオが誕生日だって言ってたから。
だから何かプレゼントしたくて……
ラキオの誕生日、お祝いしたくて……』
子供のように唇を尖らせ、拗ねたようにそう言った。
言われてから僕はようやく思い出す。
彼女からアクセサリーを貰ったあの日、僕は自身の誕生日だったんだと。
そう言えば聞いた事がある。
ある星では誕生日にその人の欲しがる物や特別な物を贈って祝う習慣があるんだとか。
グリーゼにはそんな習慣は無かった。
物を人に贈ったり贈られたりする習慣さえないのだ。
当然、誕生を祝う習慣さえない。
あぁ、そうか。だから手作り。
手作りの物はマゴコロ？が込められているらしく、一般的に販売されている物より喜ばれる傾向にあるらしい。
それに手作りだと物によれば世界に一つだけ、なんて言えるからね。数が少なければそれだけ希少価値は上がる。
彼女にとってあのアクセサリーは誕生日の僕に贈る、特別な誕生日プレゼントだったって事だろう。
あぁ、何だか腑に落ちた。
どうしてあそこまで怒り狂ったのか。
真相を知ったらストンと理解できてしまった。
……どうやら彼女は何か誤解をしているようだね。
『はぁ……まぁ、今ならラキオの言ってる事も分かる。クオリティ低いし、ラキオ＝羽根って感じで作っちゃったから単純だし、ラキオはいつもオシャレだからあんな粗末なアクセサリーなんか付けたら浮いちゃうよね……
ごめん、こんな下らない事で心配させて。
アレ、いらないなら捨てちゃっていいからね』
目をうるうると滲ませ、今にも泣きそうな顔でそう言うと、彼女はぎこちなく笑う。
相変わらず嘘が下手だね、彼女は。
それで僕が「じゃあそうする」と言ったらどうするつもりだろう。
もう少し自分の気持ちを考えて言葉を選ンで欲しいね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「短編集」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊IJu＊(プロフ) - ハムエッグさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで嬉しいです(ㅅ´꒳` )これからも更新がんばります〜！ (2月7日 0時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
ハムエッグ(プロフ) - この作品好きすぎて一気見しちゃいました.....！！ (2月6日 16時) (レス) @page26 id: e9b251311b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
