在りし日の ページ25
「……アイツ、まだ帝国と繋がってンのね」
「如何にも」
「そこまでして、勝ちたいの？
雷門はつい最近まで、部員10人にも満たなかった弱小チームよ？」
「しかし最近は力をつけているんだろう？
聞けば、尾刈斗中との練習試合で見事勝利したそうじゃないか。それに、あそこにはあの豪炎寺がいる。
何より、円堂守……中々面白いじゃないか。
何度か報告を聞いたが……いやはや、飽きないよ」
「…………」
せせら笑いながら話す鬼道にAは憤りを抑える。
しかし鬼道の声を聞く度に、彼の姿を見る度に。
怒りが増して、募って、膨らんで。今にも破裂してしまいそうだった。
ソレを岡持を握り締めて何とか耐えていた。
Aは1度深呼吸をする。
深く息を吐いて、空気を取り込むと、ほんの少しだけ冷静になれた気がした。
くるりと踵を返し、鬼道に背中を向けると
Aは鉄塔を見上げながら、ため息混じりに言った。
「…もういいわ。とりあえず、雷門は鉄塔にいるのね？」
「ああ、間違いない。……案内してやろうか？
この辺は箱入りのお前は知らないだろう？」
「結構よ、このクソマントっ！！
店来たらそのゴーグルぶっ壊すからね！！」
最後には吐き捨てるように告げ、Aはそのまま返答も聞かず足早に鉄塔の方へと向かって行ってしまった。
離れていく背中を眺め、鬼道は溜息を吐いた。
相も変わらぬ彼女の態度に呆れ、そうして彼女も雷門に興味を示している事を珍しく思う。
鬼道の知っている彼女は、少なくともそんな人じゃなかったから。
「(成長した、と言えばいいのか。
……それとも、何か目的があるのか)」
ふと脳裏に過ぎる、とある日の彼女。
それは彼女が帝国学園から逃亡し、行方を眩ます前の日の事だった。
『アンタがそんな奴だったとは思わなかった』
呼び出されたと思ったら、開口一番に吐き捨てるように言われた一言。
ただただ侮辱されただけだと思ったが、この日は違った。
続けられた言葉は、打って変わって震えていて、今にも消えてしまいそうだったから。
『とぼけても無駄よ！
……全部、知ってるんだから』
あの時の彼女は、怒りと共に困惑の表情を浮かべていた。
触れただけで壊れてしまいそうなほど脆く見え、いつものように鬼道は言葉を返せなかった。
結局、鬼道は何も言えず、次の日には彼女は帝国学園から姿を消していた。
「……」
鬼道は彼女が見えなくなると、踵を返して来た道を引き返した。
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真昼 - 久しぶりに見て見ました。更新されていて、嬉しかったです\(//∇//)\ (2023年1月15日 0時) (
レス) @page34 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます！いずれ絡ませたいとは思っていますが、いつになるのかはごめんなさい、作者も分かりません……基本無計画なので(殴)更新も遅いですが、でもゆっくりでも頑張りますー！ (2022年10月10日 16時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 更新頑張ってください (2022年10月10日 14時) (レス) @page17 id: e325fc5c3e (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 帝国キャラと女主が関わってほしいです。 (2022年10月10日 14時) (レス) @page17 id: e325fc5c3e (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - ちゃんちゃんさん» コメントありがとうございます！恐縮です…それだけ楽しんで頂けているようで作者、感無量です…！！ありがとうございます！ (2022年9月20日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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