【イナイレ】割れた花瓶に花を (ページ13)

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傀儡ページ13

「……お前こそ何故ここに？俺達に見つかっても良かったのか？」

「フンッ、どーせ〝あの人〟には私を連れ戻せ、なんてメーレーなんてされてないでしょ？
アンタ達は糸で吊るされた傀儡みたいなモノなんだから。言われないと探そうとすらしないんデショ」

「……」

「貴様っ……！」

〝傀儡〟という言葉に佐久間は歯を食い縛り、鬼道が微かに眉を顰めた。

Aもその美しい顔を歪め2人を睨むが、やがてプイッとそっぽを向いて練習試合の方に目を向けた。

試合は始まったばかり。尾刈斗中の必殺タクティクス『ゴーストロック』を食らって、雷門中の選手は皆その場から動けなくなっていた。

その中をドリブルでボールを運ぶ尾刈斗中の選手達。
ゴールに辿り着くも円堂も足が動かせないようで、そのまま敵が放ったシュートが決まってしまった。

「……一応聞くけど、どうして、かの帝国学園サマが名も知られてない弱小チームなんかと練習試合をしたのかしら？」

直後にホイッスルが鳴り響くと、ふとAは正面のグラウンドを向いたまま、また口を開いた。

その問いに鬼道もグラウンドから視線を外さず、淡々と答えた。

「豪炎寺修也が雷門に転校して来たと耳にしてな。
総帥は奴の実力を確かめたかったそうだ」

「豪炎寺修也……ねぇ。でもあの人、去年の大会以降、サッカーしてないんじゃ……」

「だから引き摺り出して(・・・・・・・)やったんだ。おかげでいいデータが取れた。
ついでに、興味深いモノも見られたしな」

「……」

鬼道の返答にAは眉を顰めた。

彼の答え方から言葉の意味を理解したんだろう。
軽蔑するような目を鬼道に向ける。

しかし鬼道は何処吹く風で、Aは1つ舌打ちをすると、今度は鬼道が彼女に尋ねた。

「ところで、お前はいつまでへそを曲げているんだ？そろそろ戻って来たらどうだ？」

「……ヤだ」

「そうやって駄々を捏ねても、お前の望みは通らない。いい加減、そうやって1人で暴走するのは止めたらどうだ？」

「っ……」

淡々とした冷たい言葉にAはグッと拳を握り締める。

唇を噛んで吐き出しそうになった汚い言葉を呑み込んで、Aは1度、鬼道から顔を背けた。

そうして、まるで絞り出すような低い声で呟いた。

「………………違う、」