辻 714 ページ17
現場に着くと、既に建物は半壊していた。
轟々と火の手が上がり、今も尚少しずつ建物が崩れていく。
このままでは火の手が全体に回るのも時間の問題だろう。
「あらぁ?もしかして、王子様の御登場ですかぁ?」
そんな建物の中心、炎に囲まれた中で
見覚えのある球体を持った少女が、この場に似つかわしくない微笑みを浮かべて立っていた。
アルファに似た服を着た彼女はこちらを見遣り、にこりと笑う。
こんな場所でなければ愛想が良く、印象は悪くなかったのだが。
何より、
「っ……ぐっ……ぅ……」
「もういい、隼人!それ以上僕の前に立つなっ!!」
これまた見覚えのある、赤と青の弾丸で手首を拘束されたイドラと、そんな彼女を背に庇うようにしてボロボロの姿で立つ、赤いメッシュの瞬木がいるんだ。
印象なんて最悪中の最悪で。
よく見たらイドラの周りには他にも見覚えのある
しかし、何処か違和感のある顔ぶれが倒れていた。
真名部……皆帆……久坂………
彼等も例外なくボロボロで、力尽きたかのよう。
瞬木ももう限界だったようだ。
震える膝で尚立ち続けていたが、俺達の方を一瞥すると、遂に崩れるように膝をついてしまった。
「隼人っ…!!」
「あらあら、もう終わりですかぁ?
さっきまであんなに元気だったのに」
倒れた瞬木に近付き、彼の顔を心配そうに覗き込む。
そんな2人を気にも留めず、微笑みを浮かべる少女は再びこちらの方を見遣ると、持っていた球体のボタンの1つに触れた。
『ストライク モード』
「っ……!」
聞き覚えのある無機質な声が響く。
次の瞬間、その球体は光り輝いて、その形を変えていく。
球体は2つに分裂すると、それぞれ彼女の手に収まり、銃のような形へと変化。
それらは彼女の背後から回るワイヤーで繋がり
光が収まると、彼女は2丁の蛇の頭部のような形をした銃を手にしていた。
「とりあえず、こっちの人はもう戦えないみたいなので……
新しく寄って来たハエを潰しちゃいましょう」
彼女がお淑やかに微笑んだ次の瞬間
俺達目掛けて襲いかかって来た。
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