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△リボンが236こ▽ ページ43

「っ……!?」



真名部はソファから降りて、彼女を探しに行こうと思ったが、あんまりにも取り乱した彼は、毛布に足を引っ掛けて転げ落ちるようにソファから落ちてしまった。

派手な音を立て、転倒した真名部。
毛布が下にあったものの、受け身も取れず床に体を打ち付けた痛みに真名部は一瞬顔を顰めた。


でも今は痛みを気にしている場合じゃない。
早く、早くAを探さないと。

その一心で起き上がろうとしたその時
ふと、お風呂場の方からドタドタと足音が近付いて来る音がした。



「まなべ!?」



その足音の正体はA。
今の派手な音を聞き付け、お風呂場から駆け付けてくれたようだった。

Aは珍しく声をあげ、リビングに入って来ると
ソファのすぐ下で蹲る真名部を見つけ、すぐに彼の元へ駆け寄った。



「大丈夫、まなべ?」

「Aさん……」

「落ちちゃったの?怪我はない?痛い所とか、血が出たりとか……」



真名部に手を差し伸べ、起き上がらせると、Aは彼が怪我をしていないか尋ねた。

対して真名部は彼女の顔を見て心底安心したように破顔し、彼女の背中に腕を回して抱き寄せる。


予想外の事に目を見開くA。
戸惑いながらもAはそんな真名部の背中に片腕を回し、もう片方の手で彼の頭を撫でながらAはまた尋ねた。



「…どうしたの、まなべ?こわい夢でもみたの?」

「……はい。とても……とても、恐ろしい夢……
アナタを、殺してしまう夢を……ぼ、僕は……」

「私を……殺す?」



Aの問いに震える声で答える真名部。
彼女はオウム返しに尋ねながら、また真名部の頭をひと撫ですると、真名部は小さく頷いた。



「さ……最初は、皆帆くんがいて……追い掛けてたんです。でも皆帆くんに追い付けなくて……
そうしたら今度は……アナタが現れて……あ、現れてから急に、苦しみ出して………く、首を見たら……絞まってて……そ、それで……」

「……」

「違うんですよ。ぼ、僕は助けようとしたんです…!でも……でも!気付いたら僕が……ぼ、僕の手で首を、絞めてて……僕……ぼくっ……!」



離している内に思い出してしまい、真名部は強くAを抱き締める。

じんわり涙さえ滲んで来て、Aは戸惑いの表情を浮かべた。



この時の彼は精神的にかなり参った状態だった。

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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年12月29日 3時

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