△リボンが235こ▽ ページ42
「っ……?!」
目を覚ました瞬間、ガバッと真名部は起き上がる。
全身からイヤな汗が吹き出し、心臓が早鐘を打つ。
毛布を持つ手は震え、まるで全速力で走って来たかのように乱れた呼吸。
メガネをしていないので視界はぼやけ、それも真名部を不安にさせる。
慌てて手探りでメガネを探し、掛けるとようやく視界がハッキリと見えるようになった。
そこはもう見慣れたリビングだった。
つい最近までゴミ屋敷だった部屋。
勿論、真名部の自宅などではなく、家具が少ないので心做しか広く感じた。
自分が今眠っている場所はボロボロのソファの上。
皮の表面が剥げ、中身が見えている所もあるくらいだ。
そこがいつも真名部が眠っている場所だった。
真名部は自分のいる場所を見てようやく安堵の表情を浮かべ、頭を抱えた。
「ゆ…夢……良かった、夢…でした、か……夢…」
『夢』と何度も自分で言い聞かせるように呟き、浅くなっていた息を整える。
次第に汗も気分も落ち着くとドッと疲れが押し寄せて来る。
外はまだ薄暗い。時間は明け方だろうか。
真名部はもうひと眠りつこうとソファに寝転がり、毛布を肩まで掛けて瞼を閉じようとしたが、ふとまた顔を上げて真名部は一応ソファの裏を確認する。
そこではいつもAが眠っているはずだった。
この間洗濯したばかりの掛け布団に包まれて、眠っているはずだった。
しかし、そこにあったのは広がった掛け布団だけ。
中に人の姿は無く、真名部は再び目を見開いた。
「……Aさん?」
これは、夢の続きだろうか?
真名部の背中にまたイヤな汗が伝う。
部屋の中をもう一度見渡してみるが、やはり彼女はいなかった。
もう一度、恐る恐る名前を呼んでも返事も無かった。
また出掛けた?でも何処に?
時間はまだ明け方。外も太陽が上り始めたぐらいの時間だ。そんな時間に一体何処に行ったと言うんだろう?
まだ家にいる可能性も十分に有り得るし、なんならそっちの可能性の方が高い。
だが真名部は先程見た夢のせいか、彼女が出掛けたんではないかと思い込んでしまい、再び取り乱してしまった。
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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)
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