△リボンが221こ▽ ページ28
「…………すみません」
ようやく真名部が泣き止むと、真名部は玄関前で膝を抱え、呟く。
目も鼻も真っ赤に腫れて、更に鼻声。
しかも好きな女の子の前で盛大に泣いてしまったからか、泣き止んでからは顔を合わせるのが恥ずかしくて、真名部はずっと顔半分を膝に埋めて、正面の玄関扉の方を向いていた。
「ううん、いいの。まなべが泣き止んだならいいの」
「本当にすみません……ちょっと、今回のは流石に……ダメでして」
「みなほにイヤなこと言われたの?」
「……いえ、そういうわけでは」
まだグズグズと鼻を鳴らしながら、真名部は首を横に振るとAは「ちがうの?」と首を傾げる。
でも実際の所はそうだった。
皆帆に言われた事が1番、ショックだった。
ソレはまるで熱された砂糖のように
ジクジクと心を焼いていく。
思い出すだけで息苦しく感じ、真名部は思わず胸に手を当てる。
深呼吸をして、空気を取り込み、心を落ち着けようとしたが、ふとAが何の前触れも無く「ごめんね」と返したので、真名部は彼女の方を見遣った。
「…何がです?」
「猝鸞畴砲辰舛磴辰董
まなべとちゃんと約束したのに、まなべのお友達、殴っちゃった……」
今度はAが正面の扉の方を見遣り、まるで子供のように縮こまりながら謝った。
その顔は本当に反省しているんだろう。
先程まで殺気立っていた彼女がまるで嘘であるかのように、情けなく悲しそうな顔をしていた。
「…いいんですよ。僕は怒りません」
「約束、破っちゃったのに?
まなべのお友達、殴っちゃったのに?」
「も…もう友達なんかじゃありませんよ、あんな人達…」
「ダメだよ、まなべ!そんなこと言っちゃ!
お友達は大切にしなくちゃって、ママだってそう言ってたよ!」
「…そんな資格、僕にはありませんよ」
かと思えば、お説教じみた事を口にし始め、真名部は若干投げやりになりながら、再び膝に顔を埋めた。
もう、彼等を自分と友人と呼んでいいのかすらわからない。
自分にはもう、そう呼ぶ資格なんて無い。
だって自分から彼等を見捨てたんだから。
自分の為に動いてくれた彼等の努力を無駄にして
長年培っていた絆よりも、たった数日一緒にいただけの殺人犯の方を選んだんだから。
思い出したらまた涙が出そうで、真名部はギュッと強く膝を抱える。
そんな真名部を隣で見遣り、Aは困ったような顔をすると、空気を変える為に「そう言えば」と言葉を続けた。
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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)
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