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△リボンが216こ▽ ページ23

「真名部を、返して」

「……」

「真名部を、返して。早く」

「……っ」



Aは何度も問い掛けるが、それでも瞬木は真名部を渡そうとはしなかった。

その度にAの苛立ちが募るのを
真名部は肌で感じ取っていた。


このままでは、瞬木は殴られる。
あの時の警備員のように。

さっきは手加減して殴ったようだが、今度は本気で殴るだろう。
そうなったらタダじゃ済まない。

最悪、死んでしまうかもしれない。



「っ……!!」

「おい、バカっ…!暴れるなっ!!」



真名部は再び瞬木を振り払おうと暴れ出した。
しかも先程より激しくだ。

この抵抗には瞬木も驚き、慌てて真名部を押さえつける。
だが仰け反った真名部の後頭部が瞬木の顎にぶつかり、その痛みで一瞬だけ瞬木の拘束が緩んだ。


その隙を真名部が見逃すはずもなく
すぐに瞬木から離れると、真名部はAの元に駆け寄る。

瞬木は「待てっ!」と手を伸ばすが、あと数cmが届かずに瞬木の手は虚を掴んだ。



「Aさん…!Aさん!!
もう帰りましょう?ほら、僕は無事ですから!ね?」

「……」

「……Aさん?」



対して真名部は彼女の前に立ち、彼女を見上げながら必死に言い聞かせ、自分の無事を指し示す。

しかし、予想外の事にAは無反応だった。


いや、一瞬、真名部を見たような気もするが
すぐに瞬木の方に目をやり、フライパンをまた銃口のように突きつける。

これには瞬木も半歩後退り、嫌な汗が背中を伝うのを感じた。



この時、Aは真名部を取り返すよりも
真名部を叩いた瞬木を爐笋辰弔韻覘畛しか頭になかった。

彼女にとって猖塾廊瓩箸麓身の日常であると同時に、酷く辛いモノ。苦しくて悲しくなるモノ。


ソレを大切な真名部に振るうのが彼女は許せなかった。


あの場で瞬木が真名部を叩かなければ、彼女はここまで怒らなかっただろう。

変わらず無邪気なままで接して
ここまで事を大事にはしなかっただろう。



皆帆達はここで選択を誤ってしまった。

引いては行けない引き金を引いてしまったのだ。



そうなったらもう、止まらない。


この瞬間、彼女にとって目の前の5人は狹┃瓩箸覆辰燭里澄

△リボンが217こ▽→←△リボンが215こ▽



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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年12月29日 3時

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