△リボンが215こ▽ ページ22
「…とりあえず、コイツどうする?」
瞬木は真名部を支えながら顎でAを指し示すと、途端に気まずい空気が流れる。
「…とりあえず、フライパン回収しちゃおうか。
恐らくソレが凶器だからね。頼んだよ井吹くん」
「お、俺かよ?!……い、いいケドよ……」
指名された井吹は渋々引き受けると、恐る恐るといった様子でAに近付いた。
彼女の顔を覗き込み、顔の前で手を翳す。
気絶している事を確かめてから井吹はフライパンに手を伸ばすと、そっとソレを持ち上げようとした。
「…?おい、フライパンから手が離れないぞ…?」
「相当強く握り締めてんのか…?」
「ソイツ、結構力強いぞ……多分。
フライパン相手とはいえ、フツーの女の子なら拳受け止めきれないって……」
しかし、強く握り締められているのか、なかなかフライパンを回収出来ない様子。
井吹は彼女から何とかフライパンを離させようと
持ち手を掴む手に触れた。
その時、ピクリと彼女の指先が動いたのを皆帆は見逃さなかった。
「……!いや、井吹くん!離れっ……」
「__また私から取り上げるの、
皆帆が警告しようとしたが、遅かった。
次の瞬間、井吹は彼女の肘を貰い、その場に倒れ伏せる。
対象的に起き上がるAに皆帆達は驚き
真名部は縋る表情でAを見つめた。
「Aさん……?」
上げられた彼女の顔を見て、真名部は目を大きく見開いた。
初めて見たガーゼの下。
彼女がずっとずっと隠していた理由がわかった。
何故なら、その下は右頬全体が赤く変色していて
まるで無理矢理別の色の布で縫い合わせたかのように、元の肌色とはツギハギだったから。
「真名部を返して」
Aはよろめくことなく立ち上がると瞬木の方を振り返る。
そうして低く、威嚇するような声でAは告げた。
その声は真名部が知らないAの声だった。
その表情も真名部の知らないAの表情だった。
瞬木もそんな彼女に気圧され、声も上げられないでいた。
しかし、真名部だけは渡すまいとする姿勢を見せると
Aは途端に不快感を露わにした。
今までに感じた事のない、ピリピリとした空気が伝わる。
殺気にも似た彼女の鋭い眼光に
「殺される」と真名部は恐怖してしまった。
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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)
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