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△リボンが211こ▽ ページ18

「……」



自分の抱える思いをハッキリ否定された真名部は、俯いて胸元に置いた手を握り締める。


そっと視線だけ上げると、目の前に自分の父親が立っているような気がした。

いつも自分を否定する。
どんなに頑張って努力しても、絶対に認めてくれない自分の父親と、皆帆の姿が重なった。



途端に湧き上がるのは怒り。

グツグツと煮え滾るソレは
わなわなと真名部を震えさせる。



勿論、皆帆は真名部が嫌いだから言っているワケではない。
寧ろ、彼が大事だからこそ、過ちを正そうとしているのだ。

これ以上、真名部が間違った道を進まないよう。
深みにハマらないように。

しっかり現実を突きつけて、目を覚まさせようとしたのだ。



しかし、これは大きな間違いだった。



「…………どうして、」



ふと、黙っていた真名部は口を開く。

震えた唇を使い、言葉を紡ぐ。


そうして上げられた顔を見て、皆帆は目を見開いた。



「どうして、アナタまで……僕を認めて、くれないんですか?

どうして誰も……僕をわかってくれないんですかっ……!!」



怒り。悲しみ。憎しみ。寂しさ。

全てを思わせる悲痛な表情を浮かべ
真名部は今日1番の怒鳴り声を上げた。


これには少し離れた所で待っていたAにも届き
久坂達も「なんだなんだ?」と皆帆達を見遣る。



「ま……真名部くん…?」

「…………もう、いいです」



唐突の豹変に皆帆はついて行けず、困惑する。

対して真名部はこれ以上の話し合いは無意味だと悟ったのか、それとも諦めたのか。


途端に肩を落として皆帆の横を足早に通り過ぎると
A達の方へと向かった。



「ち、ちょっと待ってよ真名部くん…!」

「アナタに話したのが間違いでした。
もう金輪際、アナタと会う事はないでしょう」

「何を言っているの、真名部くん…?!
話はまだ終わって……」

「終わりました、僕からは。

……さぁ、帰りますよ」

「へっ?」



皆帆は慌てて真名部を追い掛け、説得するが
もう皆帆の言葉は真名部には届かなかった。

驚く松風達を前に真名部はAの手を握ると、そのまま引っ張って路地裏を出ようとした。


これにはAも驚いて「待ってよ、まなべ!」と足を止める。

釣られて真名部も足を止めるが、決してAの方を振り返らなかった。

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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年12月29日 3時

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