検索窓
今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:8,145 hit

△リボンが210こ▽ ページ17

「………………何を、言ってるんですか」



震える声で真名部は問う。
胸元に置かれた手も震えていて、その顔は無理矢理笑おうとしているかのように中途半端に歪んでいた。


冗談だと思いたかった。
そうやって笑い飛ばしたかった。

しかし、目の前の彼は真剣な顔をしていた。


真剣な顔をしたまま、彼は無慈悲にも続けた。



「キミと彼女……Aさん、だったっけ?2人の言動を見ていたけれど……まるで恋人同士のようだったよ。
でもさっき、真名部くんは言ったよね。
彼女に誘拐されたんだって。

だとしたら真名部くん……悪いけれど、キミが抱いているその好意は純粋なモノじゃない。
極限状態まで追い詰められた精神が、自身を守る為にそういう風に思わせているんだ。
ハッキリ言って、その感情は間違いだ。

キミは彼女が好きなんじゃない。
自分を守る為に、好きだと思い込んでいるだけなんだよ」

「…………………」



皆帆の言葉が、脳裏に響く。

自分が抱くこの感情。ソレが犂岼磴い性瓩函
彼女に向けるこの気持ちは、自分を守る為に爐修思わせているだけなんだ瓩函


怖かった。

今までにない皆帆の気迫も怖かったが
それ以上に、もしも本当にそうだったと思うと怖かった。


だってあまりにも、皆帆の話と真名部の現状が一致している。

最初は何を考えているかわからない彼女に恐怖を感じていた。
いつ帰って来るかわからない母親の帰りを怯えながら待ち、時々見せるあの一面に震え、明日の自分の無事を祈り。


決して心が休まる事がなかった。
その時の心の負荷は相当なものだっただろう。


でも、だからって。

自分の気持ちを真名部の中で否定する事は出来なかった。



確かに彼女は怖い。
何を考えているのかわからないし、目の前で人を殺した場面を目撃した事もある。

そんな人間と一緒に過ごすのは確かに怖い。


でもそれ以上に、真名部は彼女の傍にいると安心した。

いつも明るく、元気で、無邪気に笑う姿は
見ていて不思議と惹かれるもので。
同時に胸の奥で何かが満たされたような気持ちになる。


それに話してみれば、彼女はただの女の子。
子供っぽくて、寂しがり屋なただの女の子だと知った。

自分の傍に常にいてくれて、話し掛けたらちゃんと返事をしてくれる。


何より彼女は両親のように自分を否定しない。

何をするにも肯定的で、決して自分の考えを否定しないから。



それが何より、嬉しかった。

△リボンが211こ▽→←△リボンが209こ▽



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
20人がお気に入り
設定タグ:イナギャラ , 真名部
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年12月29日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。