△リボンが208こ▽ ページ15
「……真名部くん、」
耳が痛くなる程の沈黙を破ったのは、皆帆だった。
皆帆は1つ息を吐き、真名部を見据える。
普通に名前を呼ばれただけのはずなのに、真名部は何故だか背筋を伸ばした。
どうか、どうか分かって欲しい。
彼女が無害であると。
そうして、理解して欲しい。
自分が抱える、この想いに。
きゅっと、Aと繋がれた手に力が込もる。
緊張で震える心臓。
真名部は内心ビクビクしながらも皆帆の次の言葉を待った。
「少し、2人で話さないかい?」
「…………えっ?」
しかし、続けられた言葉に真名部は呆気に取られた。
否定か肯定か。どちらかと思っていたのだが、どちらでもなく、しかも全てを話し終えた後にその言葉なので、真名部は思わず目を瞬かせる。
「ど…どうして」
「幾つか気になる所があってね。
……でも、あんまり他の人に聞かれたら困る内容だと思って」
「は、はぁ……」
「……」
皆帆の説明に真名部は首を傾げた。
真名部だけでなく、松風達も不思議に思い、互いに顔を見合わせた。
真名部はそっと、Aの方を見遣る。
そうしたらAも自分を見つめていた。
目が合うとAはニコリと笑う。
「いいよ」と言って真名部と手を離すと、顔を上げて松風達を見遣った。
「まなべとみなほがお話している間、私はこの人達とお話してるから!」
「え"っ……」
「……?どうしたの、くさか?」
「い、いやっ……つか、なんで俺の名前……」
何処か楽しそうに話すAとは裏腹に
顔を見合せ、如何にも警戒しているような顔をする4人。
しかし、真名部と皆帆が話している間、Aを1人にするワケにもいかない。
見張りも兼ね、彼女の話に乗ってやる事にして
一旦真名部とAは分かれた。
A達は先程来た道の反対を行き、真名部達から離れる。
途端に真名部は不安を感じ、先程繋がれていた手を胸元で大事そうに握る。
そうして深呼吸をして、真名部は皆帆に向き直ると
真名部は訝しげに細められる皆帆の瞳と目を合わせた。
「……それで、気になる事ってなんでしょう?」
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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)
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