ト シ ノ サ 【不動明王】Part14

異常なんだ ページ23

噂の拡がりようが異常だが、まぁ雷門の所と同じような、大した内容じゃないと思った俺は意識を再びスマホに戻そうとした。


その直前、思いもよらない爆弾発言が投下された。



「でも噂によれば、もうキスまで済ませたとか」

「(…………はァ？)」



スマホに向きかけていた視線が再び上がる。

あんまりにも突拍子もない事言うから声に出してしまいそうになった。


オイオイオイ、話膨らみ過ぎだろ。

古城が帝国学園サッカー部員の誰かが気になってるって話じゃなかったのか？
ソレじゃもう付き合ってるだろ。



「デートにも行ったらしいぜ」

「俺が聞いた話じゃ、お互いの家も行き来してるとか」

「同棲してんのか？」

「そこまで行ったら婚約者だな」

「キス以上もしてたりして」


「………」



……噂話とは人から人へ伝達する際に話に要らない尾ヒレが付いたりするモンだ。

大袈裟に伝わったりとかもすればその分話も上乗せされる事だってあるだろう。


しかし、コレはいくら何でも付き過ぎだろ。


100歩、いや1000歩譲ってデートは許そう。
だがそれ以降は噂でも聞くのは嫌だ。

互いの家に行き来してるだなんて誰が言ったんだ。
浜野か？倉間か？それとも瀬戸か？


絶対、面白半分で噂付け足して流したヤツいただろ。

今すぐ出て来てほしい。
ジャッジスルーぶち込んでやる。



「いやいや、流石にそこまで行ったら俺達もわかるって」

「だよな」

「わかんねーぜ？もしかしたら知らん顔でドリブルしてるあの龍崎とかかもしれねーぞ？」

「キャプテンも有り得そう」

「雅野も可愛い顔してしれっと済ませてそうだよな」


「………………」



あーだこーだと好き勝手言いまくるヤツらの話をそれ以上聞かないように俺はスマホに視線を落とす。

でも耳だけはずっと向こうの会話を拾い続けるから、タチが悪い。
聞きたくないって言うのによ。


……いや、そりゃ勿論、古城の事は信じてる。

だってアイツの一途な気持ちを毎回受け止めているんだから。
ええ、そりゃもう両手で抱え切れないくらいにな。


だから、そんな馬鹿な噂通りになっているとは思わないし思えない。
寧ろ、この噂の膨らみようは古城も予想していなかったんじゃないだろうか。



……でも、こんな噂話を耳にした時の俺の気持ちも考えて欲しい。

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