△リボンが274こ▽ ページ32
1階に降りてリビングに着くと、もう既に夕食の準備は出来ていた。
テーブルには2人分のビーフシチューと薄切りのバゲット、サラダ、グラタンが綺麗に並べられており
懐かしく感じるビーフシチューの香りに空腹が刺激される。
母に促されるがまま、真名部は自分の席に座る。
だが暫くは並べられた料理をただ見つめる事しか出来ず、母に声を掛けられるまでスプーンすら持てなかった。
きっと母は自分の為に作ってくれたんだろう。
ビーフシチューとは手間の掛かる料理だ。
仕事が休みとはいえ、自分の為に何時間も掛けてくれたんだと思うと、まだAを忘れられない真名部にはすぐに手が出せるような物ではなかった。
「どうしたの、じんちゃん？」
「あ……い、いいえ……」
「本当に？具合が悪いなら下げるけど……」
「たっ、食べます！食べますから…！」
料理を見つめたまま固まる息子の顔を覗き込み
母は心配そうに首を傾げる。
真名部は咄嗟に首を横に振るが、母は何となく真名部の考えている事がわかってしまった。
見兼ねて母は湯気立つ食器を片す素振りを見せると
真名部は慌ててスプーンを手にした。
小声で「いただきます」と呟き、恐る恐ると言った様子でビーフシチューを掬う。
そっと口に含むと、懐かしい味が口に広がり
真名部は一瞬頬を綻ばせる。
随分と久方振りに食べたソレは
それでも変わらない、優しい味で。
気を緩めると涙が流れてしまいそうだった。
母はそんな我が子を見て、安堵の表情を浮かべた。
「……美味しい？」
「…………うん」
「良かった。久しぶりに作ったから、味が変わっちゃってなかったら心配だったけど……良かった、本当に」
更に1口、口に運ぶ真名部を見て、ようやく母も料理に手を付け始めた。
暫くはお互いの食器の音しか響かない、静かで、でも何処か穏やかな食事が続いた。
真名部は帰って来て始めて、落ち着いた時間を過ごした。
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＊IJu＊(プロフ) - 莉央夏さん» ストーリーは前々から薄ら出来上がっていたので、書いちゃいました()まだお話をまとめている途中なのでパスかけてありますが、お話が固まり次第公開しようと思いますので、気長に待って頂けると……！更新頑張ります！ (2021年5月18日 22時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
莉央夏 - 「箱庭少女の孤高哀歌」のその後を書いていただきありがとうございます！パスワードがかかっている為まだ見れていませんが無理なさらず投稿して下さい！応援してます♪ (2021年5月18日 18時) (レス) id: e85eafe245 (このIDを非表示/違反報告)
莉央夏 - ありがとうございます！気長に待ちますね！無理だけはなさらずに！ (2021年5月12日 8時) (レス) id: e85eafe245 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 莉央夏さん» ですが、まさかこうしてわざわざ御希望のコメントを貰うとは……！ちょっと前向きに考えてみますね！ (2021年5月11日 23時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 莉央夏さん» 他の作品も掛け持ちしてるし、まだまだ書きたい作品があるので優先順位が自分の中でどんどん後ろに追いやられている状態です…… (2021年5月11日 23時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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