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△リボンが361こ▽ ページ21

するりと、彼女の手が滑るように離れた。
驚き過ぎて握るのを忘れていた真名部の手から、あっという間に離れた。

ようやく我に返って、しっかり握ろうとした頃にはもう遅い。既に彼女の手は離れ、真名部に背を向けていた。


そのまま彼女は皆帆の方へと歩き出す。
自ら出頭しようと言うのだろう。



「(どうしよう………?

……どうしよう……!?)」



ぐるぐると、真名部は今更思考を回転させる。

Aがこのまま行かないようにする方法。
彼女が捕まらない方法。
このまま一緒に逃げ出せる方法。


でも思い浮かばない。
当たり前だろう。コレは数学の問題ではない。
成績優秀な真名部とて、答えを出すのは困難だろう。

寧ろ、無いに等しいのかもしれない。
真名部の願望が叶うような方法は。
Aを取り戻す方法は。


ふと、真名部は自分の腕を握る。
袖越しに固い物(・・・)に触れ、真名部は再びAを見つめる。

Aは優しくて良い子だ。
それでいて、真名部を大切に思っている。

世間からも人間からもズレた存在だが、少なくとも真名部には家族として、彼女なりに好意を持ってくれている。

真名部もソレは知っている。
ソレが真名部の望む感情とは、また別の感情だという事も知っている。


もしも、そんな大切な存在が傷つきそうになったら。
Aはます間違いなく止めようとするだろう。

実際、前に皆帆達と対峙した時もそうだった。
天馬からのボールを受けても尚、真名部を守ろうとしてくれていた。



なら、自ら死にそうになったらどうなるだろう(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)



「____真名部くん?!」



気付いた時には体が動いていた。

真名部は袖の中に隠し持っていたテーブルナイフを取り出すと、切っ先を自らの喉元に突きつけた。


皆帆が驚き声を上げる。
その声にAも振り返り、そうして濁った瞳を大きく見開いた。


真名部の腕が、震える。
まさか、こんな風に使うとは思ってもみなかった。

勿論、脅しのつもりだ。
実際に突き刺そうとは思っていない。


ただ、Aのこの後の言動次第では
真名部自身もどうするかはわからなかった。




「っ……Aさんが……行ってしまうのなら……

僕は………僕はっ、このまま死にますっ!!」

△リボンが362こ▽→←△リボンが360こ▽



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*IJu*(プロフ) - キジバトさん» 初めまして!コメントありがとうございます^^楽しんで頂けているようで良かったですー!作者無計画なんでこの章で終わるかはわかりませんが、でも終わりが近付いているのは確かなので、是非最後まで楽しんで頂けたら…!更新頑張ります! (2021年12月24日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キジバト - 初めまして!この作品めちゃめちゃ大好きです!文章もすっごい神だし、真名部の心の動きとかがすごく丁寧に書かれててすごく面白いです!クライマックスなのはちょっと寂しいですが,そのまま最後まで頑張ってください…!応援してます! (2021年12月23日 1時) (レス) @page1 id: 7552df8542 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年11月26日 1時

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