△リボンが354こ▽ ページ14
唯一、白っぽい串とネギが間に挟まった串は区別出来るが……それ以外の3本は真名部には全く同じように見えた。
なるべく美味しい物をAに……と思っていた真名部は思わず眉を顰めた。(そもそも、焼き鳥で特に美味しい物など真名部は知らないが)
「(白っぽいのは皮、ネギが挟まったのはネギマとして……他のは一体?焼き鳥って何がありましたっけ……?全て形が微妙に違うので、味も違うと思うのですが……一体どう見分ければ……)」
「……じんくん?」
つい真剣に考えてしまい、Aに声をかけられて我に返る。
濁った瞳と目が合うと「えぇっと、」と真名部は言い淀む。
そんな真名部を不思議そうに見つめてから、Aはおもむろに惣菜袋の中から1本の串を手に取った。
「私のオススメはね〜、コレ!」
「えっ…?」
にっこり笑って彼女が差し出したのはネギマ。
「すっごく美味しいよ!」とAは付け加えた。
不意な事で少し驚いたが、彼女がそう言うのなら美味しいのだろう。
寧ろ、彼女が1番好きな種類なのかもしれない。
Aが自分より他人を優先する性格なのは重々承知しているので、真名部は「そうですか」と微笑むと、彼女が差し出していた手をやんわり押し返した。
「ならAさんが食べて下さい。僕は違うのを食べますから」
「いーのいーの!真名部が食べて!
私、この白いの……ネギ、だっけ?コレ苦手なの!
だから真名部が代わりに食べて!」
「(オススメなのにネギが苦手って……)」
見え見えの嘘をつくAに真名部は戸惑う。
それに彼女はネギが苦手と言うわけでもない。
今まで作った料理にもネギを使用した物があったが、Aは美味しそうに食べていた。
彼女なりの優しさなのだろう。
真名部はそれでも尚、彼女に譲ろうと思ったが
直前にAにネギマの串を渡されてしまった。
「私はコレにしよ!」と惣菜袋から違う串を取り出し
言葉を挟む間もなく彼女は口にする。
そうして美味しそうに口を動かす彼女を見ていたら、何も言えなくなってしまった。
「…?どうしたの、じんくん?食べないの?」
「あ……いや、食べます!」
また呆然としていたら、Aと目が合い、彼女は首を傾げる。慌てて真名部は取り繕うと、少しだけ迷って、結局ネギマにかぶりついた。
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*IJu*(プロフ) - キジバトさん» 初めまして!コメントありがとうございます^^楽しんで頂けているようで良かったですー!作者無計画なんでこの章で終わるかはわかりませんが、でも終わりが近付いているのは確かなので、是非最後まで楽しんで頂けたら…!更新頑張ります! (2021年12月24日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キジバト - 初めまして!この作品めちゃめちゃ大好きです!文章もすっごい神だし、真名部の心の動きとかがすごく丁寧に書かれててすごく面白いです!クライマックスなのはちょっと寂しいですが,そのまま最後まで頑張ってください…!応援してます! (2021年12月23日 1時) (レス) @page1 id: 7552df8542 (このIDを非表示/違反報告)
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