【イナイレ】シッカーラプンツェル5【不動明王】 (ページ45)

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◇ラプンツェルの部屋ページ45

そんな話をしていたら宿舎に着いたみたいで
私はその中に足を踏み入れる前にまず感嘆の声を上げる。

だって校内に宿舎だよ？
それに建物だって綺麗だったし、大きいし！

勿論、中に入ってからも同じように声を上げ
流石にトビタカを呆れさせてしまったみたい。

階段を上がって廊下を少し進むと、扉がいっぱいの通路。この扉一つ一つが部屋になってるんだろうね。

その内の1つ。階段のすぐ側の扉の横に〝黒井〟と書かれた扉まで案内されると、私はトビタカから松葉杖を受け取って御礼を言った。

「ありがとう、トビタカ！ここまで案内してくれて！」

「別に……響木さんがそうしろって言ったから…」

「でも荷物も持て、とは言われてないでしょ？
だけどトビタカは持ってくれたじゃん」

「……」

「トビタカって見た目はちょっと怖いけど、とっても優しいんだね」

トビタカは照れくさくなったのか、黙り込んでまたクシを取り出し、髪を梳かし始めた。

トビタカって照れたりするとそうやって髪の毛梳かすのかな？だとしたら照れ屋さんなんだね。

そう考えたら微笑ましくて思わず笑ってしまうと
トビタカに睨まれてしまったのですぐに笑うのを止めた。

「…他に、何か手伝える事とかあるか？
ついでにやってやるよ」

「ううん、今はもう大丈夫。
でも困った事とかあったら、またこうやって助けてくれると嬉しいな。
私、まだ病院から出たばかりだから色々わからない事とかあると思うの」

「……俺が出来る事なら、その…手を貸してやるよ」

「本当？ありがとう！」

「……」

トビタカは本当に優しくて親切な人だ。
ついででも手伝おうとしてくれたし、今後も困った事があったら助けてくれるって。

そのお返事がもらえただけで嬉しくて私は微笑むと
トビタカは無言でそっぽを向いた。
照れくさかったのかな。

とりあえず、もう少しで練習始まる時間だし、その場でトビタカと一旦別れると、私は自分の部屋に足を踏み入れた。

ベットと机と姿見、あと収納棚。

部屋もそれほど広くはない。
如何にも1人用って感じの簡素なお部屋。

これからは暫く、この部屋で過ごすんだぁ…！

いよいよ始まる生活に思いを馳せ
選手でもないのに1人部屋の中で松葉杖を握り締め、鼓動を高鳴らせていた。