◇ラプンツェルの兄 ページ34
「そいつァ誰だ？佐久間の妹か？」
少しの間、サクマに頭を撫でられてると
不意に大きな体の人が首を傾げた。
そっか、私は皆の事知ってるけどら皆は私の事知らないよね……
それにこのチームの中にも何人か知らない人もいるし。
でも私が答えるより先に、サクマが代わりに自己紹介してくれた。
「黒井A。病院に入院していた時に知り合った子でな。…まぁ、妹みたいなものだ」
「黒井Aです！サクマがお世話になってます！」
「随分しっかりした妹さんだな、佐久間！」
「おいおい、A……」
私がちょっとふざけてみたら、サクマは頬を赤く染めて恥ずかしそうに笑う。
ごめんね、サクマ。
でも�猖絖瓩辰童世錣譴襪里�嬉しくて、つい。
「黒井Aちゃんって言うんだね、帽子ちゃん。
元気だった？」
「だから帽子ちゃんはやめろって、吹雪……」
「うん！元気だったよ！
ソメオカは足の怪我、大丈夫…？」
「おっ、名前どっかで覚えて来たのか？
足の調子はこの通り、ピンピンしてるぜ」
ソメオカは言いながら足元にあったサッカーボールを手繰り寄せ、その場でリフティングを始めた。
と、思ったら真上に蹴ってその場でジャンプ。
そうしてオーバーヘッドキックをぶちかますと、ボールは真っ直ぐゴールネットに突き刺さった。
ソメオカの足の怪我も治ったみたいで良かった…！
しかも心做しかシュートの威力、上がってるような？
「でもA、お前どうして此処にいるんだ？」
「確かに……Aちゃん、雷門の生徒ってワケでもないし……」
「うーん、よくわかんない。響木監督に突然呼ばれたの。今、あっちでお父さんとお母さんとなんか話してる」
「もしかして、雷門に転校して来たりするんスかね？」
「やり〜！可愛い後輩ちゃんゲット〜！
あ、オレ松野空介って言いま〜す！雷門に来たら仲良くしようね！」
「こらこら、まだそうと決まってないだろ？」
急にマックスがそんな事言うから、ちょっと気恥ずかしくなっちゃったけれど、でもカベヤマが言うように本当に雷門に転校したらって考えると、まるでおとぎ話の主人公になった気分。
あの有名な雷門中学校に通えたら、毎日が楽しいんだろうなぁ……
エンドウ達もいるし、毎日皆に会えるんだもん。
想像しただけで、とっても素敵だなぁ……
そうだって決まったワケではないけれど
本当にそうだったらいいなぁ。
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