◇ラプンツェルとヒビキさん ページ30
「ヒビキさん…！！」
振り返って私は思わず頬が緩む。
目の前にいるのはあのライモンの監督さん。
ライモンをFF全国大会で優勝に導いた凄い人。
良かった、呼ばれてたの間違いとかじゃなかったみたい。
実はまだちょっと不安だったんだ。
「アナタが響木さんですか…！
私はAの母です。そちらは父で……」
「どうも」
「突然の連絡にも関わらず、御足労頂き感謝します。
いやはや、御出迎えが遅くて申し訳ない」
私の反応にお父さんとお母さんも気付き、2人とも車から降りて響木さんに頭を下げた。
すると響木さんも軽く頭を下げ、そこからは大人の会話。
その間、私はｷｮﾛｷｮﾛと忙しなく視線を動かして、ライモンの校舎を隅々まで見渡していた。
なんか、奥の方にも建物がちょっと見える…！
あと向こうの方で何人かの声が聞こえるような……
「……気になるか？」
「へっ…？」
「向こう側、気になるんだろう？」
耳を済ませて声のする方に集中していたら、ふとお父さんとお母さんとお話していたヒビキさんが私に話し掛けた。
急だったから私は思わずマヌケな声を出してしまうと
ヒビキさんは声のする方を見ながら続けた。
「向こうでは今、
「せんこう……じあい？」
「『フットボールフロンティアインターナショナル』
……通称��FFI�瓩暴个訌�手達を選ぶんだ」
「FFIって……つまり、世界大会って事ですか？」
「ええ、そうです。全国の次は世界ですよ」
「……！」
ヒビキさんの話に私は目を見開き、お父さんもお母さんも驚いた顔をする。
つい最近まで弱小サッカーチームだったライモンの人達が、サッカーの世界大会に出場するだなんて…！
まるでシンデレラみたいな、夢のようなお話！
でも選ぶ、って事は……ライモンの選手全員では行けないのかなぁ……？それはちょっと残念。
だけど世界はやっぱり強い人がいっぱいいると思うし、スポーツはそういう世界だって聞くから。
それに大会に出れるだけでも凄いよ！だって世界だもん！
……って、向こうでその為の特訓してるの？
という事は……ライモンの人達、いるって事！？
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