リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ6)

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△リボンが101こ▽ ページ6

万が一、冷蔵庫が使えない場合を考慮して、試しに常温で保存出来るお茶のペットボトル飲料を2本購入した。

例え冷蔵庫が使える状態であったとしても、部屋があの有様なのだ。
冷蔵庫の中身も酷い事になっている可能性も十分考えられた。

支払いはAに代わり真名部が行い、買った商品をビニール袋に詰める。

「(重い方、彼女に持って行かれてしまった…)」

「じんくーん！早く行こー！」

ビニール袋は2つに分けられ、ペットボトル飲料が入った方を持とうと思っていた真名部だったが
Aにカッ攫われるように重い方を取られてしまい、真名部は思わず溜息を吐いた。

そんな事は露知らず、Aは重い方の荷物をﾌﾞﾝﾌﾞﾝ振り回しながら真名部を急かす。

真名部は彼女の元まで駆け寄り『勝手に先に行かないように』とやんわり注意すると、Aは『ごめんなさい』と謝ってからまた無邪気に微笑んだ。

「ねーねー！次は何処に行く？お洋服？靴？それとも…絵本？」

「いえ、今日は他に買う予定はありませんが…」

「そっかぁ…ご飯買いに来ただけかぁ」

階段を上がりながらの何気無い会話。

しょんぼりと肩を落とすAに、帰ろうと思っていた真名部はこのまま更に上の階に登って寄り道しようとも考えたが、すぐにその考えを振り払った。

お腹も空いているし、真名部は自分にも言い聞かせるように「帰りますよ」と改めて告げると、そのまま店の出入口を通り、帰路に着く。

……………着こうと、した。

「＿＿＿そこのキミ達、」

「っ……！」

階段を登りきり、そのままデパートを出ようとしたら
不意に声を掛けられて、真名部はﾄﾞｷﾘと心臓が飛び跳ねた。

話し掛けて来たのはこのデパートの警備員のようだった。
確かにAと真名部の2人に声を掛け、真名部はぐるぐると思考を巡らせる。

このまま振り返って応対してもいいものか…
もしかしたらバレてしまったんじゃないだろうか。

だとしたらこの状況、相当まずい。
人目もあるし、逃げようにも自分の体力はたかが知れている。

例えAがあのパワーで自分を引っ張って逃げてくれるとしても、自分は足枷にしかならない。

いっそ振り返えらずに逃げた方がいいんじゃないか……

真名部はそう考えたが、優しいAはそうはしなかった。

「はい！なぁに？どうしたの、おじさん？」

真名部が考えている間にAはくるりと振り返ると
いつも通りの笑顔を浮かべながら、返事を返した。