リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ49)

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△リボンが144こ▽ ページ49

「あー…えっと、その事なのですが」

明日出掛ける事を告げられ、上機嫌に鼻歌を歌うA。

そんな彼女に自分から言っといて申し訳なく思いながらも口を開くと、Aは『なぁに？』とすぐ返事を返した。

「その…明日はあのショッピングモールではない所で買い物しましょう」

『どうして？』

「いや…たまには別の場所に行きたいなー、って…思い、まして……それに！同じお店に通っていてもいつかマンネリ化してしまいますでしょうし…」

『まん……ねり…か？』

「…と、とにかく…僕は他のお店に行きたいんです」

理由を尋ねるAに真名部はそれっぽく理屈を並べて話したが、少し難し過ぎたようだった。

結局投げやりに告げると、Aは二つ返事で了承してくれた。

しかし、そうなると次は何処へ行くかだ。

この近所にはあのショッピングモール程とは行かなくとも、ある程度食べ物の売っているお店があるのだろうか。

流石にコンビニに通うのだけは真名部も流石に勘弁だった。商店街等があれば理想的だが、果たしてあるのだろうか。
最悪、バス等で移動しなければならない程の長距離移動になってしまうもしれない。

『他のお店…うーんとねえ…』

「や、やはりあそこ以外にこの近所にお店ってありませんか…？」

『ううん！えーとね、確かあったよ！
何回かヒロパパと行った事あるの！』

「ひ…ヒロパパ…」

彼女が言っていた3人の父親の内の1人だろう。
しかも何度か一緒に出掛けた事があるらしく、真名部は内心ﾓﾔﾓﾔとした気持ちが広がった。

しかし、彼女の話がもしも本当なら、真名部にとっても有難かった。
この家からの行き方を覚えているか尋ねると、Aは扉の向こうで『うん！』と答えたので恐らく大丈夫だろう。

「…因みにどんな所ですか？
昨日僕達が行っていたような、大きな建物ですか？」

『ううん！色んなお店がいっぱい並んでるの！
八百屋さんとかお花屋さんとかラーメン屋さんとか！』

「商店街…ですかね？」

『ショーテンガイ？うん！ショーテンガイ！
……何それ？』

「わ、わからなかったら同調しなくてもいいんですよ」

『ドーチョー？』

「……とりあえず、明日そこに案内して頂けますか？」

「いーよ！」

真名部が尋ねると、Aは丁度着替えが終わったのか、ｶﾞﾗﾗと引き戸を開いて元気に答えた。

突然の登場に真名部は思わず驚いて顔を上げる。
だが彼女の格好を見て、更に驚いた表情を浮かべた。