リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ46)

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△リボンが141こ▽ ページ46

「…とりあえず、終わったら着替えて下さいね。
そのままでは風邪を引いてしまいます」

「はーい！
…ところでまなべは？終わったの？」

「えっ？ああ、はい…今終わりましたよ」

「じゃあきゅーけーしよ！私、お腹空いた！」

「ちょ、ちょっと！まずは服を着替えて下さいっ！」

ﾍﾞﾁｬﾍﾞﾁｬのまま浴室を出ようとするAに真名部は慌てて通せんぼをすると、Aはﾌﾟｸｯと頬を膨らませて「なんでなんで」と不満を漏らす。

そんな彼女を宥め、此処で着替えるよう言い聞かせるとAは了承し、真名部は彼女の代わりに替えの服を持って行った。

とは言っても替えの服は真名部の服を買った時に一緒に購入したワンピースぐらいしかなかった。

母親の服の方がいいとは思ったが、母親の服は数が多い上に、中には下着等が散乱した服の山の中に手を突っ込む勇気は真名部には無かった。

「どうぞ」

「ありがと、まなべ！」

彼女の元に真新しいワンピースを持って行くと
Aはソレを笑顔で受け取ってから、広げてマジマジと見つめる。

その時の彼女の顔は広げたワンピースで見えなかったが、何やらうんうん唸っているようだった。

やがてワンピースを下ろし、Aは浮かない表情をすると、その表情のまま、おもむろに真名部の方を見遣った。

「ど…どうしたんですか？大きさ、合っていませんでしたか？」

「……ううん、なんでもないよ！
ただ、まなべに救急箱取ってきてほしいなー、って」

「き、救急箱…？」

真名部は何が気に入らないのか尋ねると、Aは途端にいつも通り笑ってそう言った。

救急箱、と言われて真名部は一瞬目を瞬かせる。

だがその箱の中身を思い出して、真名部の表情から再び血の気が引いた。

「どっ……ど、何処か怪我をしてしまったんですか？！大丈夫ですか！？痛みますか！？」

「へっ？ケガ？」

もしや、また怪我をしてしまったのではないかと真名部は心配そうに彼女を見上げて尋ねるが、Aはｷｮﾄﾝとした顔で真名部を見遣る。

そうして「違うよ」とまた笑うと
Aは焦った顔をする真名部の頭の上にﾎﾟﾝﾎﾟﾝと手を乗せながら続けた。