リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ45)

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△リボンが140こ▽ ページ45

「ふぅ……これで終わりました」

最後の1枚を食器棚に戻すと、真名部は1つ息を吐く。

ようやくシンクに溜まっていた皿は片付き、ついでにシンクの方も軽く洗ったので綺麗になった。

ピカピカになったシンク周りに真名部は何処か満足気な顔をするも、まだ片付けなければならない所は残っている事に気付いて、また溜息を吐いた。

「でも……結構見違えたんじゃありません？」

そんな自分を励ますように真名部は顔を上げて、カウンター越しに部屋を見渡す。

あんなにゴミだらけで足の踏み場もない汚部屋が
今日1日掃除しただけで、随分と部屋らしい部屋になった。

そのせいか、リビングが随分と広く感じた。
ゴミ袋に占領されて狭く感じていたせいだろう。

しかし、まだ鼻を突くような臭いが残っている。
真名部は部屋を見渡しながら、明日にでも掃除用具を買い足そうと考えた。

「そう言えば…彼女の方はどうしているんでしょう？」

ふと騒がしい彼女を思い出す。

彼女には風呂掃除を頼み、最初は物音を立てていたが
今は随分と静かだった。

不思議に思い、半分不安を抱え
真名部はおもむろに浴室の方へと向かった。

「あ…あの、どうですか？進んでますか？」

半透明の扉の前で一応2回ノックする。
真名部が声を掛けると、すぐに奥の人影が動いて扉が開かれた。

そうして現れたAはまるで水遊びでもしたかのようにﾋﾞﾁｬﾋﾞﾁｬで、服までぐっしょり濡れたまま、いつもの笑顔を浮かべた。

「まなべ！こっちはジュンチョーだよ！
すっごく綺麗になってるの！壁も床も頑張って磨いたんだよ！」

「なっ…なんでそんなに濡れてるんですか？」

「知らない！お掃除してたらこうなったの。
でも大丈夫だよ！その内乾くもんね！」

一体どう掃除したらそこまで濡れるのか。
髪から水を滴らせながら、Aは何処かに楽しそうに話す。

そんな彼女に真名部は呆れたような顔をした。
着替えて貰おうとしたが、この調子だと風呂掃除している間は着替えても無駄だろうと思い、言うのをやめた。