リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ5)

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△リボンが100こ▽ ページ5

「冷蔵庫、使いたいんでしょ？なら使おーよ！」

「だ、だから使ったら怒られるってアナタ…！」

「でも使いたいんでしょ？」

「そりゃ……まぁ、使えたら嬉しいですけれど」

「じゃあ使おーよ！」

「いや、あの…！？」

何か考えたのか、何にも考えていないのか。
勝手に話を進めるAを真名部は止めさせるが、話にならない。

本当に彼女は自分の言動を覚えていないようで
真名部は思わず頭を抱えた。

どう説明したら理解してくれるものか…
真面目な真名部は考えてしまう。

しかし、どう言おうと彼女は意見を曲げない気がした。
何故ならもう彼女の中でも決まってしまっているようだから。

「怒られても知りませんからね…」

「だいじょーぶ！その時は私が怒られるから！」

真名部は大きな溜息を吐いてそう呟くとAは自信満々に胸を張る。

そんな所で胸を張られても返って真名部の気苦労が増えるだけだが、言っても無駄そうなので真名部はもうそれ以上は何も言わないでおいた。

…冷蔵庫に入れた食べ物はすぐに食べるようにしよう。

そうすれば母親にバレる可能性は少しは低くなるはずだ。彼女が怒られる可能性も低くなる。

そう無理矢理考えて真名部は自分を納得させると、来た道をUターンして、まずは乳製品の立ち並ぶ所へと向かった。

「とりあえず…冷蔵庫が使えるのなら、もう少し買って行きましょう。
……因みに、牛乳はお好きですか？」

「牛乳って……飲んだらお腹壊すやつ？」

「…まぁ、飲み過ぎたらお腹壊す人もいるでしょうね。そうそう無いと思うのですが」

「私1回飲んだ事あるけど、その後すぐお腹痛くなっちゃったからあんまり好きじゃない」

「……そうですか」

聞いてから、彼女の場合は飲み過ぎ以外の理由でそうなったのではと気付く。

だとすると彼女の家の冷蔵庫が心配だ。
賞味期限が切れた物を飲んでいたとするなら未だしも、常温保存により傷んだ牛乳を飲んだとするのなら、彼女の家の冷蔵庫が使えない可能性がある。

当然、真名部は彼女の家の冷蔵庫が機能しているかどうかは確認していない。

もしも冷蔵庫が使えないとするのなら、これからまた暫くはパン生活を送らなければならなさそうだ。

「…一応聞きますが、冷蔵庫って使えますよね？」

「…？ちゃんと開くから使えるよ？」

「…」

念の為Aに尋ねたが、彼女は質問の意味を理解していないようで、真名部はまた1つ溜息を吐いた。