リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ37)

今日:24 hit、昨日:0 hit、合計:8,786 hit

△リボンが132こ▽ ページ37

「とりあえず、そこのゴミ袋を捨てるだけでも随分とスペースが確保出来ると思うんです。
それに床には皿の破片とか、踏んだら危ない物もありますし……」

「そうだね。まなべソレで怪我しちゃったもんね」

「は、はい……ですから、片付けた方がいいと思いまして」

反対されるかと思ったが、意外と賛同的なようだった。

Aは懐かしむように話しながら笑うが、真名部は女の子の前で情けなく転んでしまう自分を思い出したくはなかった。

因みにその時の傷はもう既に完治していた。

「じゃあ、お片付けしよっか！
またまなべが転んじゃう前にね！」

「そ、そういう理由では無いのですが……」

「…でもその前に、もうちょっとだけ、まなべとふわふわしてていい？」

「………いっ、いい、ですよ」

ようやくAは真名部の肩から頭を上げ、やる気満々な反応を見せたが、Aはそう言って再び真名部の肩に頭を乗せた。

名残惜しく思っていた真名部は再び緊張し始め
〝ふわふわ〟の意味もわからないまま、また暫く真名部はAに肩を貸した。

－－－

10分後、遂に部屋の掃除が始まった。

まずは隅っこに積まれたゴミ袋を外に出す事からだった。

この役目は全てAに任せてしまった。
真名部の腕力が無く、重くて満足に持てない、というのも理由の1つだが、最大の理由が真名部の出入りを近所の人間に目撃されるのを恐れたからだ。

「すみません、任せてしまって……」

「いーよいーよ！私力持ちだもん！
まなべの分もいっぱい運んで来るね！」

何度かAがゴミ袋を両手に家を出たり入ったりする所を見て、申し訳ない気持ちになったが
当の本人は特に気にしている様子は無く、それなりに重さのあるはずのゴミ袋を嬉々として運び出していた。

勿論その間、真名部は真名部で床に散乱した物をゴミとそうでないものに分けていた。

とは言っても圧倒的にゴミの量が多く、ゴミ袋代わりに用意していたレジ袋がすぐにﾊﾟﾝﾊﾟﾝになってしまう。

部屋のゴミの量を見て、途方もない量に真名部は気が遠くなりそうになったが、部屋のゴミ袋を全て外に出したAが戻って来るとそうでもなくなった。

そうして2時間程、2人で協力してゴミを分別しては外に捨てに行ってを繰り返していたら、ようやく粗方のゴミは全て片付いた。