リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ36)

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△リボンが131こ▽ ページ36

「………これから、どうしますか？」

暫くAに肩を貸したまま、何処か満たされた時間を過ごしていたが、ふと真名部は今後の事を考えてしまい、ﾎﾟﾂﾘとAに尋ねた。

「これから、って？」

「その……アナタの母親が返って来るまでの間の事ですよ。もう1ヶ月も帰って来ていないんでしょう？
まだこの先も帰って来ないとなれば、色々と問題がありますから……」

少し言いづらそうに真名部はそう言うが、正直帰って来る可能性は0に等しいと真名部は考えていた。

それでもきっとAは母親の帰りを待つんだろう。
この家から出ようとは思わないんだろう。

勿論、真名部もこの家から出ようとはもう考えていない。真名部自身が帰りたくないからだ。

となるとまた2人での生活となるわけだが、この先1ヶ月、2ヶ月とこの生活が続くのは流石に真名部も嫌だった。

足の踏み場もない汚部屋。
溜まったゴミから漂う悪臭。
風呂場の衛生面もほぼ最悪な状態で、食べ物だってまともな物が無い。

慣れ始めた真名部だが、この先もこの汚い空間で過ごすのは耐えられそうになかった。

今までは他人の家だから。下手に触って母親の逆鱗に触れたらと我慢して来たが、もう違う。
母親が帰って来る可能性は極めて低い現状となっては、汚部屋に慣れていない真名部にはまずこの部屋をどうにかしたいと思うようになったのだ。

「問題？それって足し算？それとも筆算？」

「いえ…その、この部屋の事ですが」

「この部屋？」

「ほら、この部屋ってとてもきた……ご、ゴチャゴチャしていて、歩きづらいでしょう？
ですから、少しでも歩きやすくしたいと思っているのですが……」

首を傾げるAに真名部はオブラートに包んで彼女に説明すると、Aは「確かに」と部屋を見渡した。

ﾊﾟﾝﾊﾟﾝに詰められたゴミ袋が隅っこに大量に置かれ
床にはゴミなのか使えるのか分からない物が散乱した状態。中には皿の破片や画鋲等が紛れているのだから恐ろしい。

隅には埃が積もり、床もベタついていて裸足では歩きたくない。
キッチンの方も同じように踏み場も無い足場に加え
いつ使ったのかわからない皿がシンクに山積みになって放置されていた。