リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ33)

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△リボンが128こ▽ ページ33

その後はなるべくAを起こさないよう、そのままの体勢で過ごしたが、すぐに限界が来た。

彼女の頭が乗っている方の足が痺れて感覚が無くなり、でも動いたら起こしてしまうからと動けなくて真名部は1人、足の痺れと格闘していた。

気を紛らわせる為に彼女がいつも読んでいる絵本を読んだり、頭の中で素数を数えたりしていたが、それでも1時間弱しか持たず、しかも彼女は起きる気配がない。

遂には真名部はおもむろにテレビのリモコンの電源ボタンを押すと、なるべく音を小さくして、適当なチャンネルを付けた。

そろそろ昼も近い時間帯だからか
そのチャンネルではワイドショーが流れていた。
話題はｺﾛｺﾛと変わり、その話題に対して有名人が時には真面目に、時には面白可笑しく話す。

真名部はその話を足の痺れと格闘しながら眺めていたが、ふと話題が『連続通り魔殺人事件』についての話題となった。

『ところで、最近ぱったりと無くなったこの事件についてですが、犯人は一体何処へ。そして目的はなんだったんだと思いますか？』

『そもそも、連続で起きたこの事件について、私は同一犯ではないと思います。被害者4名の内、最初の2名は全身を殴打されていたのに対し、後の2名は後頭部から1発。後者2名を殺した犯人は模倣犯である可能性が高いかと』

『金銭を目的としていないようですし、快楽殺人であると思われます。〝人を殺してみたい〟という興味から犯行に至ったのだと＿＿＿』

専門家も交えて話しているようだが、その内容は全く外れた推測であり、足の痺れも忘れて食い入るように見ていた真名部は思わず鼻で笑ってしまう。

何が同一犯ではない、だ。
何が快楽殺人だ。

4件とも全て彼女の犯行であり、故意で殺したのではない事実を知っているからこそ、真剣に的を外した推測を話しているその専門家とやらが実にバカバカしく、滑稽に思えた。

凶器についてもハンマーやバットなど幾つか鈍器系が挙げられているが、フライパンだとは誰も口にしなかった。

真実に掠りもしない推理に真名部は半分安心して
半分苛立ちを覚えた。

「(誰も彼女を事を知らない…知ろうともしない。
彼女はわざと殺したワケではありませんのに……
世間ではこんな風に思われているんですかね)」

悶々と考えている内に段々苛立ちの方が強くなって
付けて早々に真名部はテレビの電源を消してしまった。