リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ4)

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△リボンが99こ▽ ページ4

「とりあえず、これぐらい買えばまた暫く大丈夫でしょうか……」

カートに入れられたカゴの中身を見て、真名部は1人呟いた。

前回とは気分を変えて、なんて言いはしたものの
結局は日持ちのするパンが大半を占めてしまった。

それもそうだろう。
冷蔵庫は使ったら怒られるらしいのだから。

そうなると常温でもある程度保存出来る物を買うしかない。

「パンがいっぱいだね、じんくん」

「えぇ……本当はこんな予定ではなかったのですが。
……せめて、冷蔵庫があれば……」

Aもカゴの中を見遣り、どこか楽しそうに笑う。
真名部は思わずふぅ、と溜息を吐きながらそんな事を言ってしまった。

冷蔵保存出来れば、それだけ備蓄するレパートリーも増やせる。

別に真名部はパン一色でも構わなかったが、毎日ソレだと流石に飽きが来るだろうし、何より栄養の面も心配だった。

「……？冷蔵庫、あるよ？」

そんな真名部の呟きを聞いたAは、は途端にｷｮﾄﾝとした顔をして真名部の方を見遣る。

そうして素っ頓狂な事を言い出すので、真名部は思わず眉を顰めた。

「……知っていますよ、それぐらい。
でも使えないじゃないですか」

「あれ？そだっけ？」

「使ったらアナタのマ……母親に怒られるんでしょう？」

「あー………」

自分で自分の言った事を忘れてしまったのだろうか。

ﾎﾟｶﾝと口を開け、気のない返事を返すAに
真名部は逆に心配になってしまった。

だがその後、Aは何やら考えているのか
頭を左右に振りながら、うんうん唸り始める。

真名部は何をそんなに考えているのか疑問に思い
とりあえず黙って彼女の次の言葉を待っていると
不意にAはﾊﾟｯと顔を上げた。

「じゃあじゃあ！冷蔵庫使う？」

「…………はい？」

今さっきの真名部の言葉を無視した返答に、真名部は思わず声を上げた。

Aはまるで妙案でも思い付いたかのように、楽しそうに言葉を続けた。