リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ25)

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△リボンが120こ▽ ページ25

真名部の両親は、父は超一流の商社マン。母は外交官というエリートな家庭で育ち、そんな2人の期待に答えるように真名部は今の今まで勉強一筋で努力して来た。

結果、日本計算超人コンテストで優勝する程の秀才となったが、彼の父はソレでは満足しなかった。

テストで満点を取っても計算の仕方が悪ければ叱られ
どれだけ努力しても父から褒められた事はない。

母親もそんな父親と意見は同じらしく
優しい言葉はかけてくれるが、父と同じように優等生を強いるのだ。

真名部もそんな両親に嫌気が差していた。

銀河でのサッカー大会後、友人の言葉もあり一旦はそんな両親とも和解し、良好な関係を築けていたが
受験が近くなると、やはり2人は勉強をするようしつこく言って来た。

しかも受験するのは真名部の受けたい高校ではなく、父が薦めた超一流の高校だ。
父が通っていたとか言っていたが、真名部にはそんな事どうでも良かった。

とにかく、その高校以外の受験は認めてはもらえず
真名部も仕方なくそこを受ける事にしたが、有名故にその学校の倍率は物凄い上に定員が少なく
更には出される問題も難解なので、真名部とてまず普通に勉強するだけでは通れる門ではなかった。

通う塾を増やされ、帰ってからも勉強の毎日。
父も今まで以上に厳しく、満点のテスト用紙を見てもやはり計算の仕方が悪いだの、もっと効率良く求めろだの、これ以上の事を要求して来る。

関係は逆戻りとなり、真名部は息が詰まるような毎日にいつしか「逃げ出してしまいたい」とさえ思うようになった。

そんな事したらどうなるか。真名部にはわからなかった。

だって真名部は産まれてから1度も両親に逆らった事がない。

否、逆らえる環境ではなかった。

それに両親は頭が堅い。
どうせ自分が何を言おうと、結果は変わらないだろうという諦めの気持ちもあった。

「(わからない……彼女があんなにも母親を慕う意味が……自分の価値観で子供を支配する事しか考えていないような……その上で暴力で押さえ付けているような人ですのに……)」

真名部にはわからなかった。

何故なら普通の家庭環境で育たなかったから。

自分の事を考えてはくれているであろう両親から
愛された実感が無かったから。