世界征服～僕らのサーカス～【イナGO】VS SSC編第肆幕 (ページ27)

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辻 630 ページ27

「そもそもの『イナズマカーニバル』の始まりは、この中に住むスラムの少年達と帝国の生徒の出会いからだ。
そこから様々な戦いを繰り広げ、最終的には『イナズマカーニバル』として組織が出来上がり、皆が知る歴史となった。

恐らく、その始まりを無かった事にされたと思うんだ」

優一さんの話を引き継ぐようにフェイが続ける。

そこの歴史は小説の中と同じだ……
本当に『イナズマカーニバル』は存在して、しかも今まさにその物語の場面に立ち会おうと言うのだ。

不謹慎かもしれないが、内心少し興奮してしまった。

「でも探すって言っても、どうすればいいやんね？
『イナズマカーニバル』って顔も名前も知られてないんでしょ？そんなの探しようがないやんね？」

「小説の中にはそれなりに人物像が書いてあるけれど、書いてる人が『イナズマカーニバル』の元団員でない限り、完全に想像だろうし……」

「まぁ、でも1人は特定出来るじゃん。
ほら、フィフスセクター総長の円堂さんだよ！」

顔も名前も知られていない『イナズマカーニバル』の団員探しに悩んでいると、不意にAがそう言って身を乗り出した。

さっきまでは呼び捨てて呼んでいたと言うのに……
余程、彼女は『イナズマカーニバル』のファンのようだ。

「ね！フェイ！」とフェイの方を振り向くと、フェイも苦笑いを浮かべながら彼女の問いに頷いた。

そうして表情を改めると、フェイは続ける。

「とりあえず、まずはこの時代の円堂さんを見つける事だ！でも見つけても接触は極力しないでね。
そのせいで歴史が変わっちゃうことがあるから」

「ツーマンセルで動いて街に散らばろう。
見つけたら各自、通信機で連絡して場所を伝えて。
少しでも異変があったら、すぐに教える事」

そうしたらAも切り替わり、白い左手で小型の通信機を創造(つく)り始める。

その間に団員達は予め決まっているのか、すぐに2人1組になり、各自彼女から通信機を受け取った。

……まぁ、当然だがこうなると俺は1人取り残される。

まだ馴染めていないってものあるが、きっとそれだけじゃないんだろうな……

「オメーも余ったのか？なら、オラと組まねーか？」

……いや、違う。1人ではなかった。
どうやらもう1人、取り残された者がいたらしい。

しかしその相手は俺から見れば謎だらけの少年
頭にドクロの帽子を被ったトーブだった。