辻 622 ページ19
「でも、どうしてその…『イナズマカーニバル』が存在していないからって、ここまで歴史に誤りが起こりうるんですか？
そもそも『イナズマカーニバル』って都市伝説では…？」
「何を言うの、真名部！『イナズマカーニバル』は実際に存在した集団なんだよ！都市伝説なんかじゃないやい！」
「わかったから落ち着いて、A…」
自分の好きな物について熱く語るAをフェイは宥めながら、『確かに』と真名部の疑問に内心便乗する。
『イナズマカーニバル』は10年前に確かに存在した暗殺集団。
皆、年端もいかない少年少女達によって結成され
政府を敵に回して各国で暗殺を繰り返した集団だ。
こう言われると恐ろしい集団だと思われるだろうが、実はそうでもない。
だって殺し回っているのは悪行を積み重ねた悪い人達ばかりなのだから。
そのせいで世論も彼等を支持する者は多く
また彼等の存在は抑止力となり、年々そういった類の悪事は減って行ったそうだ。
今も存在しているかは定かではないが
その『イナズマカーニバル』を題材としている小説が今、巷で大人気だ。
最新巻が並べば即完売。
異例の大ヒットとなっているが、その実発売日はいつも急な上に遅いのだ。
今やっと4巻まで出ているが、まだ話は続くそう。
しかしここ3ヶ月間は音沙汰無し。
俺もあの小説は好きなので
何も言われないのはやはり物悲しいものがある。
一部は『作者がまた逃げたか』なんて騒がれるけど、そんな事はないと願ってる。
「『イナズマカーニバル』の団員の一部がフィフスセクターにいたからね。その団員が主に《イドラのサーカス》との対話を試み、そして同盟まで結んだ」
「…………………へっ？」
真名部の問いに優一さんが答えると、途端にうるさかったAがﾎﾟｶﾝとした顔をして黙り込む。
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁと瞬きをして、ゆっくりと優一さんを見つめると、少し考えるように空を見る。
そうして、もう一度視線を優一さんに戻し、間の抜けた顔そのままで、彼女は優一さんに問うた。
「…………つまり、あの円堂って人は…………
…………『イナズマカーニバル』の団員………？」
「まぁ、ハッキリ言うとそうなるかな。
他にも何人かフィフスセクターと関わっていたようだけど」
「………〜〜〜〜っ！？」
今までにないAの様子に優一さんもタジタジになりながらも答えると、Aは声にならない声を口から絞り出して、ｶﾞﾊﾞｯと優一さんの肩を持った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
