△リボンが56こ▽ ページ10
それから真名部は彼女にパーカーとヘアゴムを借り、ついでにAにも今とは違う服に着替えて来るように頼んでみたら、快く引き受けてくれた。
パーカーはまた違う父親の、ヘアゴムは母親の物らしい。
真名部はそれらを腰に巻き、髪を1つに結んで洗面台の鏡の前に立ってみる。
普段はあまりしない、ラフな格好だ。
ズボンとシャツは制服のをそのまま着ているが、これは案外バレないかもしれないと真名部は何となくそう思った。
帽子もほとんど被らないし、髪の毛だって結ぶのは夏ぐらいだ。
いつもとは違う自分に少し新鮮味を感じ、真名部は何度か鏡の前で控えめにポーズをしてみる。
だがすぐに我に返ると真名部は頭を抱え、部屋に戻ろうとした。
「あ！こんな所にいたんだ、まなべ！」
「わぁっ？！」
だが丁度その時、Aも洗面所にやって来て
彼女は真名部の姿を見つけると途端に人懐っこい笑みを浮かべた。
唐突の彼女の登場に一瞬心臓が飛び跳ね
まさか先程、1人で鏡の前でポーズを取っていたのを見られたのではないかとﾄﾞｷﾄﾞｷしたが、特にそこら辺は触れられなかった。
その代わり、Aは自分の着ている服をくるくる回って見せながら「どう？」と無邪気に尋ねた。
先程までは長袖長ズボンに黒い上着を中途半端に羽織った格好だったが、今の彼女は長袖のパーカーに短パン姿だ。
ズボンの下にはレギンスを履いており、やはり肌は見えないようになっていたが、所々穴が空いていたのでその下の白い包帯が見え隠れしていた。
「ママの服もちょっと借りちゃった！
ね、まなべ？どう？かわいい？カッコイイ？」
「か、かわっ……に、似合っていると、思います……よ」
今までと違う彼女の格好にドギマギして、真名部はわざとらしく咳払いを1つ。
似合ってる、と言われてAは嬉しかったのだろう。
分かりやすく感情を表情に表して「えへへ」と笑ってみせた。
「まなべもカッコイイよ、その服！」
「ほ、ホントですか…！」
「うん！まるで男の子みたい！」
「お、おとっ……え？おと……男の子…みたい…」
お返しか、Aも真名部を褒めてくれたようで
真名部も思わず目を見開き頬を染める。
だが続けられた言葉に真名部は途端に落ち込むと
横目で洗面台の鏡に映る自分の姿を見て、帽子を深く被った。
……確かに自分は男らしくない。
でもそれを女の子で、しかも彼女に言われるのは
真名部には堪えるモノがあった。
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＊IJu＊(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜！ (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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