【イナイレ】シッカーラプンツェル8【不動明王】 (ページ10)

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◇ラプンツェルは仲が良かったページ10

「……黒井？」

「っ……！！」

考えている内に夢中になってしまって。
気付いたらトビタカの声が聞こえなくなるぐらい考えてしまっていた。

慌てて私は我に返って返事を返すと、トビタカに変な顔をされてしまった。

……でも、フドウと同じ学校には、ちょっと行ってみたいかも。

フドウが一緒なら何だか楽しい学園生活が送れそうだから。

「……不動と仲、良かったのか？」

「…うーん、どうだろう？
フドウって意地悪ばっかりだったし、特訓も最初から鬼みたいに厳しかったし……」

フドウとの事を聞かれて、私はまた考える。

仲良し、ってワケではない、と……思う。多分。
仲良しってエンドウとゴウエンジ達の事を言うんだろうし。

寧ろ、『ノロマ』とか『チビ』とか『ちんちくりん』って呼ばれて。
倒れるぐらい厳しい特訓とかさせられて。
何かと意地悪ばっかりやられて。

……潜水艦から出て出掛けていた時に『消えろ』って。『二度と戻って来るな』って言われて。
サクマとゲンダの事黙ってて。
ライモンの人を傷付けて。

「……」

考えている内にあの試合の日の事を思い出してしまい、私は膝の上で拳を握る。

脳裏に浮かぶのは、サクマとゲンダの苦しそうな顔。

サクマが上げた絶叫。

ソレを見て歓喜するフドウの姿。

あの中に私が入っているだなんて、思いたくない。
でも確かに私はあの中にいて、フドウと一緒にライモンの人を傷付けた。

許せない。未だにその感情が湧き上がる。
ずっと忘れようとしていた嫌な感情が、ﾄﾞﾛﾄﾞﾛと溶岩の様に迫り上がる。

きっと今、目の前にフドウがいたら、また私はフドウに酷い事を言ってしまうんだろう。

あの時のように、フドウを責めるように捲し立てて。

自分のせいじゃないって、全部フドウに押し付けるんだろうな。

「……最初は、仲良く出来たと…思う。
でも……その、途中から…上手く話せなくなっちゃって……」

「何かきっかけでもあったのか…？」

「……うん」

「……そうか」

流石にその日の事は話したくなかったから、私は頷くだけにして口を噤む。

そうしたら優しいトビタカは察してくれたのかな。
何も言わず、ただ相槌を打ってそれ以上は聞いて来なかった。