◇ラプンツェルは付き合う ページ4
確かに私はまだ病院通いだし、何なら今もその帰り道だし。
でもでもでも、私はもう病気じゃないから。
通ってるだけで病気じゃないから。
それに先生にも良くなって来てるって言われたから。
「……やるよ、私。付き合うもん」
「えっ…？」
「トビタカの特訓、幾らでも付き合えるよ私？
なんなら、これから始めてもいいけど？」
その気は無かったんだろうけれど、ちょっと気になっちゃった私は思わずいつもとは違う、変に偉そうな感じで言ってしまう。
そんな私にトビタカは最初、困惑したような顔をしていたけれど「いいのか…？」と首を傾げてこちらを窺った。
「勿論！選手のサポートをするのもマネージャーのお仕事だもん！
それにトビタカ、たまに合宿所でも私と特訓してたでしょ？場所が変わっただけだよ！出来るもん！」
「く、黒井……」
「なら決まりだな。
場所はこの店の裏にある空き地でやるといい。
ボールも一応用意してあるが、くれぐれも飛ばすなよ」
「はーい！じゃあ行こ、トビタカ！特訓開始！」
「えっ……い、今から？」
「今から！ほら、行くよ！」
「おわっ…？！」
場所もあるみたいだし、私は早速トビタカの手を引いてお店を出ようとしたけれど、その前に「待て待て」とヒビキさんに止められてしまう。
振り返るとヒビキさんは奥の部屋の方を指差しながら続けた。
「先導するのはいいが、裏の空き地なら外から出るより裏口から出た方が近いぞ。目の前にあるからな」
「そ…そうなの？」
「あと、多少は手加減してやってくれ。
どうやら、まだ慣れてないみたいだからな」
「っ……ひ、響木さんっ！」
「…？」
ヒビキさんは何が面白いのか、からかうような口調で悪戯っ子のように笑うと、トビタカは顔をほんのり赤く染めながら怒鳴り声を上げた。
私だけ話の内容を理解していないみたい。
慣れてない、って……何に慣れてないんだろう？
やっぱりボールに、って事なのかな？
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