◇ラプンツェルとデザートライオン ページ27
「…………」
得点追加のホイッスルが鳴り響いた後、私はそっと顔を覆っていた両手の指の隙間からグラウンドを覗き見る。
だ、だって今のは……ほ、本当に、見ていられなくて……
ツナミがボールにぶつかりそうになった所で、思わず顔を覆ってしまった。
ツナミは……ツナミは、倒れたまま動かない。
打ち所が悪かったのかな。
それとも疲れていたからなのかな。
「おい、綱海！」
普段はエンドウみたいに明るくて賑やかな彼のその姿に、私は目を大きく見開く。
エンドウは起き上がってすぐ声を掛けたが、やっぱり返事はない。
気絶……しちゃったのかな。
頭打っちゃったのかな？
「ここからが俺達のサッカーの始まりだ」
そんなエンドウの前に、相手のキャプテンが立ち
意地悪な笑みを浮かべる。
その笑みに疲れは見当たらない。
寧ろ余裕そうだ。
彼等だってイナズマジャパンの皆と同じぐらい…いや、それ以上動き回っていたはずなのに。
前半に点を決められたのがまるで
「俺達は灼熱の太陽と砂漠のフィールドで育った」
「鍛え上げられた身体と無限の体力…」
「ソレが俺達の最大の武器！」
「昨日今日特訓しただけの連中に着いてこれるワケがない！
お前達が砂漠に迷い込んだ旅人も同然……
あとは息の根が止まるのを待つだけだ」
煌々と照り付ける太陽を受けて、相手のキャプテンは言い放つ。
太陽はまだ天辺にある。
雲だってほとんどないから、影が出来る事もない。
オマケにじっとしていても汗が滲み出るこの暑さ。
ソレが更に皆の体力を奪う。
「彼等の目的はイナズマジャパンの体力を削ぐ事だったんですね……！」
「前半のラフプレーはその為に？！」
「だから皆あんなに消耗を……」
「しかも、今日この気温の高さ……このままでは……」
「……みんな……」
……後半は、まだ始まったばかり。
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