◇ラプンツェルとノノミお姉さん ページ18
遂にカタール戦、試合当日。
天気にも恵まれ、雲ひとつない晴れやかな青空が広がっている。
照りつける太陽は燦々と輝き、会場の熱気も相まって気温も上昇……
………というか、暑過ぎる。
お天気が良過ぎる。
雲ひとつないので日陰が出来る事もなく
ただ立っているだけで汗が滲む。
夏って程ではないけれど、でもやっぱり暑いものは暑い。
さっきまで涼しいキャラバンの中にいたから、尚更そう思うのかもね。
こんな中で試合するなんて、選手の人達は大変だぁ……
「よし、行くぞ！」
それでも試合はしなくちゃいけない。
エンドウは何処か期待を込めた瞳で先陣を切り、会場へと入ろうとしたその時だ。
「虎丸くーん！」
ふと、知らない女の人の声が聞こえて私達は声のした方を見遣る。
しかも今の声、トラマルの名前を呼んでいたような……
「…？！乃々美姉ちゃん！？」
前髪を綺麗に切りそろえて、大きな黒いリボンで纏めた、ちょっと年上っぽい女の人だった。
クーラーボックスを肩に下げ、こちらに手を振る彼女。
とても可愛らしくて、しかも優しそうな人だった。
「誰アレ？」
「虎丸くんのご近所さんよ」
「キレイな人っス……」
「それにかわいい…！」
秋ちゃんが言うには、あの人はトラマルのご近所さん。
いいなぁ、あんな素敵なご近所さんがいるなんて。
私のご近所さんは入院してもすぐ退院しちゃってたからなぁ。
ちょっと羨ましく感じる中、トラマルはそのノノミお姉さんの元に駆け寄る。
その顔はちょっと照れくさそう。
態度もいつもよりツンツンしてた。
「何しに来たんだよ…！」
「今日、大事な試合なんでしょ？
はい、みんなの分！お弁当作って来たのよ！」
「マジっスか！？」
応援しに来たのかな、って思ったけれど
まさかお弁当まで作ってくれていたみたい。しかも皆の分！
クーラーボックスの中身はイナズマジャパンのお弁当。
その中の1つを取り出して中身を見せてくれたけれど
とっても美味しそうだった。
しかも、おかずがカワイイの！
小さいおにぎりも4つ入っててね、彩りもキレイ！
「へぇ、美味そうじゃねえか」
「これは力が湧いて来るぜ！」
「コレ食べて必ず勝ってね、みんな！」
こういう物を貰ったら嬉しいに決まってる。
やる気が漲るイナズマジャパン。
今日の試合も勝てますように。
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