＊ ページ8
「だってよー拓人。あの馬鹿デカイ庭園の花の世話しろって言われたんだぜ？
人手不足なのはわかってっけど…んなの庭師に任せろってーの！」
「…そうか」
始まったAの愚痴を聞きながら、俺は窓の外に目をやった。
外は清々しく晴れ渡り、下の庭園では色とりどりの花が美しく咲き誇っている。
…人手不足、か。
それはきっと俺のせいなのだろう。
「…そういえば、あと一週間だっけ？
拓人の結婚式」
Aが俺の顔を覗き込みながら、俺に尋ねた。
その質問に俺は思わず眉を顰める。
…俺はあと一週間で、隣国の王女と婚約する。
そこに私情は関係無い。
全ては互いの国の為の政略結婚。
もちろん俺はそんなの嫌だ。
婚約するなら、自分の思い人がいい。
例えば………
「…A」
俺は視線をAに移動し、彼女の綺麗な瞳を見つめる。
Aは驚いたのかギョッと目を見開き、俺から目をそらした。
「…何？」
「俺は…婚約なんてしたくない」
そう彼女に告げると俺は彼女の手をそっと両手で握り、俯いた。
彼女の手は俺より一回り小さくて、所々皮が向けてマメが出来ていた。
…きっと、毎日頑張って仕事に励んでいるのだろう。
「拓人…？」
俺の言葉にAは案の定困惑し、その場でしゃがんで俺の顔を覗き込んだ。
そして俺の頬にそっと触れ、優しく微笑む。
−−−
婚約の儀は滞り無く行われ、その日は深夜近くまで城でパーティーが開かれた。
俺はその最中にさり気なく抜け出して、3日前に約束したとある場所へ向かう。
そこは会場から離れた小さな空き部屋で、そこに入ると案の定彼女が待っていた。
「オイオイ…主役が抜け出しちゃっていいのかよ？」
Aはいつもと違いあまり目立たない格好をしていて、窓際で微笑んだ。
俺もその顔を見ると頬が緩み、自然と笑顔がこぼれる。
「…いいの？アンタ、せっかく国王になれるチャンスなのに」
「お前こそいいのか？
「私はいいの、こういうのは慣れてる」
そう言って自嘲的に笑うと、Aはおもむろに手を差し出した。
俺は迷わずその手を握る。
「んじゃ、行くぜ王子様。
船着き場まで走るぞ！！」
彼女は何処か嬉しそうに笑うと窓を開け放ち、俺達はそこから飛び出した。
外では婚約を祝うはずの花火が咲き、やがて夜空に溶けていった。
アイツさえいなければ【白竜】＊ハル様リクエスト→←メイドさんと王子様【神童】
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紀鏡 - あれ…好きなもの【風丸】の肉のやつになんか察しがつくぞ…ちょっ？！佐久間？生きてる？！ (2017年7月3日 16時) (
レス) id: 4f8c5bdb75 (このIDを非表示/違反報告)
空月 - 好きなもの【風丸】ってやつの肉ってまさか佐久間の((( (2017年2月6日 14時) (レス) id: 9ea75f5c5e (このIDを非表示/違反報告)
areru - 面白かったです。 またいつかでいいのでijuさんのアフロディ楽しみにしています。 (2016年5月4日 21時) (レス) id: 8f172b8017 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - ＊IJu＊さん» わかりましたれありがとうございます♪ (2016年1月24日 17時) (レス) id: 9dca1ab2b7 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - リオさん» リクエストありがとうございます！！ お話がまとまり次第、この短編集の続編に更新しますので少々お待ち下さい！ (2016年1月24日 16時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊IJu＊ | 作成日時：2015年9月10日 13時
