懺悔の波打ち【皆帆】 ページ26
まだお日様が顔を出していない
でも『夜』というにはもう遅い時間。
私は皆帆君と一緒に、海に来ていた。
「久しぶりだね、海来るの」
「……うん、そうだね」
砂浜を踏みしめ、波打つ海の前で呟くと
皆帆君はコクリと頷き微笑んでくれた。
冷たい潮風が私達の頬を擦り、髪が靡く。
「……寒いね」
「そりゃあね。だってもう11月だよ？
しかもまだ太陽も出ていない」
「そっか…でも、関係ないよね」
「うん、僕達にはもう関係ない」
皆帆君とそう言って笑い合うと
私はおもむろに、彼に手を差し出した。
すると皆帆君は少し驚いたように目を丸くさせてからまた優しげに微笑み
私の手に、指に、優しく自身の指を絡めた。
皆帆君の手は温かくて、とても安心出来た。
「…真名部君、怒るかな」
ふと皆帆君の親友の真名部君の事が気になって尋ねると、皆帆君はクスッと笑う。
真名部君は私の友達でもあって、結構皆帆君と3人で一緒にいる事が多かったんだ。
なんだか懐かしい。
「……怒るだろうね、泣きながら」
「泣き虫だもんね、あの人。
でも意地張って『泣いてない』とか言ってそう」
「確かに。真名部君はわかりやすいからね」
皆帆君の答えに私も釣られて笑ってしまう。
だが互いにすぐ表情が無くなると、真っ直ぐ視線を海に向けた。
「…冷たいかな」
「冷たいだろうね」
「苦しいかな」
「大丈夫、すぐに慣れるさ」
「……皆帆君は後悔してない？」
「してないよ」
「どうして？」
「だって君と此処にいるから」
皆帆君は海を見つめながらそう言うと、フッと笑いかける。
……いや、その目線は何処か、ずっと遠くを見ているような気がした。
「僕はね、君がいない世界なんてきっと耐えられない。
君がいなくなってしまったら、僕の世界から色が無くなってしまう」
「色…？」
「ああ、白と黒だけの虚無の世界。
そんな世界は真っ平ごめんさ」
皆帆君の言っている事はよくわからなくて、詳しく尋ねようと思ったが、やめた。
私は口を噤むと冷たい海を眺める。
まだ闇色の波は悠々と波打ち、揺らぐ。
「…行こうか」
「…うん」
しばしの沈黙の後、皆帆君はいつもとは少し違う声音でそう呟いた。
私は頷くと、そのままゆっくりと歩き出す。
「…ねぇ、やっぱり教えて。さっきのやつ」
「あっちで教えてあげるよ」
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紀鏡 - あれ…好きなもの【風丸】の肉のやつになんか察しがつくぞ…ちょっ？！佐久間？生きてる？！ (2017年7月3日 16時) (
レス) id: 4f8c5bdb75 (このIDを非表示/違反報告)
空月 - 好きなもの【風丸】ってやつの肉ってまさか佐久間の((( (2017年2月6日 14時) (レス) id: 9ea75f5c5e (このIDを非表示/違反報告)
areru - 面白かったです。 またいつかでいいのでijuさんのアフロディ楽しみにしています。 (2016年5月4日 21時) (レス) id: 8f172b8017 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - ＊IJu＊さん» わかりましたれありがとうございます♪ (2016年1月24日 17時) (レス) id: 9dca1ab2b7 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - リオさん» リクエストありがとうございます！！ お話がまとまり次第、この短編集の続編に更新しますので少々お待ち下さい！ (2016年1月24日 16時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊IJu＊ | 作成日時：2015年9月10日 13時
