【イナイレ】シッカーラプンツェル【不動明王】

◇ラプンツェルはボロボロ ページ42

結果から言えば、ﾎﾞﾛﾎﾞﾛに言われた。

それはもうﾎﾞｯﾛﾎﾞﾛに。

今まで優しい人達にばかり会っていたからか
言われなかった一生分、全部纏めて言われたってぐらい。


同時に私自身もﾎﾞﾛﾎﾞﾛだった。

とりあえず軽くグラウンドを外周してみろって言われたからやったんだけれど、今まで病気のせいでまともに運動していなかったせいか足は遅いし、体力は無いし。

半周も満たない辺りでもうﾖﾚﾖﾚになっちゃって
フドウから怒られちゃった。



「重い病気だかなんだか知らんが、あんまり期待はしてなかったが……ここまで出来ないとはなぁ」

「ﾊｯ……ﾊｧｯ……ｺﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｯ……」



限界の私は遂に地面に膝をつくと、フドウは私を見下ろしながら、心底呆れたようにそう言った。


く、苦しい……息が、出来ない……

さっき、通路走った時とは……比べ物にならないくらい……苦しい。


普通の人って……限界まで走ると…こんなに、苦しいんだ……



「とりあえず、動いたらこまめに水分は取っとけよ。あと、お前の場合は休憩も取らなきゃな」

「あ……あ、りが…と……ぉ……」



呆れながらもフドウは私にオレンジ色の水筒みたいな入れ物を私に差し出し、私はソレを受け取って言われた通り中身を1口流し込む。


これは…スポーツドリンクって言うんだっけ？

あんまり飲んだ事ない味。
甘くてしょっぱくて、とても美味しい。

いつもはお水かお茶ぐらいしか飲まないから、ちょっと新鮮かも。



「じゃ、お次は……って、何ﾆﾔﾆﾔしてんだよ？」

「へっ？」



更に1口飲んで珍しい味を楽しんでいたら、いつの間にか表情に出ていたみたい。

不意にフドウは眉を顰めて私を見遣り
私は間の抜けた声をあげた後、恥ずかしくなって目をそらした。


そうしたらフドウは更に訝しげな顔をして私を見つめてから「…まぁ、いいか」とようやく私から目をそらして続きを話した。



「お次は…ボールに慣れてもらおうかねぇ」

「ボールに…慣れる？」

「これから毎日、飽きるぐらい蹴り続けるサッカーボールの事さ。お前は初心者中の初心者のようだし、基礎中の基礎を教えてやる為にも、まずはボールの扱いに慣れないとなァ？」

「……」



…何だか馬鹿にされているような気がするのは気のせいではないだろう。

だってフドウの顔、ﾆﾔﾆﾔしてるし。



「じゃ、10分後に始めるから軽く体動かしてろよ」

「えぇーー！！10分しか無いの！？」



しかも、意地悪。

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