◇ラプンツェルは見守る ページ19
「さ、サクマっ…！やめて！これ以上はっ…！」
私は咄嗟にサクマを止めようとした。
サクマとキドウの間に割り込んで、止めさせようとした。
でも不意に腕が掴まれて、それは出来なかった。
細い指が蛇みたいに私に巻きついて、私が止められてしまう。
「これから良い所だろ？邪魔してやんなよ」
「は、離してっ…！」
犯人は案の定、フドウだった。
フドウは笑いながらそう言って、サクマを止めようとした私の腕を引き、私を引っ込める。
私は何とか振り払おうとしたけれど、出来なかった。
だってフドウ、力が強いんだもん。
ﾍﾗﾍﾗ笑いながら私の腕を掴んでるのに、全然ビクともしない。
その内フドウの視線は再びサクマの方に向けられ、彼はいつしかのような下卑た笑みを浮かべた。
「……どうしても……影山から離れないのか……？」
「そうだ。総帥だけが、俺達を強くしてくれるんだ！」
3回目。
またボールはキドウに向けられた。
キドウはまたそのボールを受けた。
流石に3回も連続だから、キドウはその場に膝をつく。
そうして顔を歪めながらも、キドウは2人に訴えた。
「っ……俺達のサッカーはっ……」
「�牴驚�のサッカー�瓠�
…俺達のサッカーは負けたじゃないかっ！！」
「やめて、サクマっ…！」
キドウに当たって跳ね返ったボールを、サクマはまたキドウに叩き込む。
しかも今度はキドウの頭に向けてだ。
心做しか今までで1番威力の高い、ノーマルシュートのようなボールだった。
そんなの頭でまともに受けたら痛いに決まってる。
ううん、痛いで済むワケない。
咄嗟に声を上げて止めるけれど、その時にはもうボールは放たれてしまった。
膝をついたキドウに避けられる余裕は無く
私はこの先の展開を見たくなくて、思わず目を瞑る。
でも間一髪、キドウの前にキャプテンが飛び出して、そのボールをキャッチした。
確か、彼のポジションはキーパーだったから。
それに自分の仲間にボールがぶつかりそうになって、咄嗟に飛び出て来たんだろう。
「円堂……」
「…影山に従う奴らに�牴驚�のサッカー�瓩覆鵑童世錣擦覆ぁ�
呆然とするキドウに、円堂はボールに視線を落としながらそう告げる。
テレビで見た時は終始笑顔でみんなを励ましていた人だったけれど、その時ばかりは肌がピリつくような、強い瞳をしていた。
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