天ぷら ページ20
私を放って一頻り笑った治君はスッキリした顔をしていた。
「何を笑てたんですか治君」
「そんなむくれんでや。……悩んでたのがアホらしなってん。Aちゃんは、俺が思とる以上に愛してくれてる。その事実だけで十分や」
「あ、あいっ……!?」
「愛してくれてないん？」
「……」
「そっぽ向かんでよAちゃーん」
無邪気に、また、悪戯っ子のような笑顔。
からかわれて、むくれる私も慕ってくれるひとの笑顔。
気付けば涙が頬を伝っていた。
「え、Aちゃん?!からかいすぎた？ごめんっ」
治君のブレザーの裾を握り、今度は私が一頻り泣く。
声を出して泣いてしまうほど、好きなひとに出会えた私は幸せ者だと噛み締める。
「愛しとるもんっ……」
「え、え、」
「うぅ……すき、……好きすぎて辛いぃ……責任取ってよぉ……！」
「……Aちゃん、いつかさ＿＿＿＿」
「……！余計に泣かすなアホっ」
泣き腫らした顔で家に着くとおばあちゃんが出迎えてくれた。
Aちゃんは泣いても可愛ええねぇ、なんて言ってくれるおばあちゃんが私は好きで堪らない。
治君と同じくらい。って言ったら怒られそうだから私だけの秘密だ。
「あら、えらい男前の子連れてきて。Aちゃんも隅に置けんなぁ」
「初めまして。Aさんとお付き合いさせてもろてる宮治、言います」
「治君ね。あ、そや、今日Aちゃんの好きな肉じゃが作ってんよ。治君も食べていき」
「え、肉じゃがなん！うれしい！私おばあちゃんの肉じゃが大好きっ」
「先手洗って着替えて
「では、お言葉に甘えさせてもらいます」
おばあちゃんの肉じゃがだ、と喜ぶ私は、おばあちゃんと治君が話していたことなんて露知らずという状態だった。
＿＿＿＿『Aちゃん、可愛ええやろ？』
『めちゃくちゃ可愛いです！』
『せやろ、せやろ。ほんまにええ子に育ってくれておばあちゃん嬉しいわぁ。Aちゃん、ご飯食べるの好きやから色んなとこ連れてってけあげてなぁ』
『たくさん連れて行きます。Aちゃんのご飯食べる姿がいっちゃん好きなんで』
『そっかそっか、Aちゃんは幸せ者やねぇ。……治君、Aちゃんのことよろしゅうね』
『もちろんです。俺の人生かけて幸せにします』＿＿＿＿
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かめそん(プロフ) - 内容ももちろんですがタイトルの意味も素敵すぎて最後まで幸せな気持ちになれました！ (2022年10月2日 19時) (
レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
ヨゾラ - 男だけどこういうのにキュンキュンする俺は一体、、、？ (2022年8月31日 22時) (レス) @page33 id: 5507c42246 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの？私バカなの？((((喧しいわ (2021年8月25日 17時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
jianuand(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました(;_;)治くんのプロポーズの言葉が素敵すぎてほんとに素敵すぎて素敵でした。治くんが最後までちゃん付けで呼んでくれとるのもすごいいいなって思うポイントで、最高の作品でした！プロポーズの時のあなた呼び最高でした(;_;) (2021年3月30日 4時) (レス) id: 95e484b442 (このIDを非表示/違反報告)
13.m(プロフ) - ナハマヤラさん» ナハマヤラさま、コメントありがとうございます！作品を楽しんで頂けたようで何よりです(；；)応援ありがとうございます、これからも頑張ります！ (2020年5月12日 15時) (レス) id: 3808cb0dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：13.m | 作成日時：2020年4月14日 19時
