KICK THE FOOT BAR【キャラ設定集】 (ページ21)

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【過去】

先の大戦の時代に生きていた男性で、本名は「黒田一郎」。享年23歳。
一般家庭の一人っ子に生まれ育ち、更なる教養を求めて大学へ進学。
傍ら趣味で和楽器を学ぶが、陸軍兵士として徴集され戦争末期に軍に入営、前線の南島に配属された。

本来は大人しく心優しい性格であったが、軍で短期の厳しい訓練を受ける間に、相手への配慮や気遣い・武士道をそのままに、大人しい性格は矯正され軍人気質のそれへ変化していった。

配属先の戦線状況は苛烈を極め、敵の圧倒的な物量と兵力に戦況は不利へと傾いていた。
所属部隊も壊滅し、密林を彷徨するうちに寄せ集まった他の兵達と、落伍して泥に顔を埋めた死体を横目にみたり手榴弾の爆発音を遠くに聞きながら虚な目で行軍し、その内の高級軍人に従って退いたり、ゲリラ的に攻めたりを繰り返すような有様だった。

食糧も尽きゆく中それも敵の攻撃によってバラバラになってしまい、彼一人空腹の限界を感じながらふらふらと再び密林を彷徨っている内に、一人の同僚の後ろ姿を目撃する。
人を貪り喰っていた。
それが敵が味方かは分からなかったが、元は人の形をしていたであろう肉塊が後ろ姿の脇に見えた。
気配に気付いたのか、喰うのをやめて男がこちらを振り向いた。口周りは血に塗れ、その表情には既に理性は宿っていない。
それを視認する頃には此方の理性も弾け飛んでいた。目が合うや否や武器を掲げて殴り合い、斬り結び、刺し合い、転げ回った挙句にとどめを刺して、喰った。
その騒動を聞いて様子を見にきた理性ある味方が「貴様は人でなしか」と喚いて煩いので殺して剥いで喰った。

満足する頃には頭から足まで全身血みどろで、そのまま立ち上がると、気が抜けたように、目を見開いたまま再び密林を彷徨した。
理性とやらは発狂を通り越し「無」となっていた。
夕日が落ち、夜が来る。
黒田の姿はそのまま闇に紛れ、もう二度と、祖国の地を踏む事はなかった。

…ああ、雨が降り始めた。

画像は黄色の男メーカー様より。