Snow cover 3 (ページ6)

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ぶえっくしょい、と大介が大きなくしゃみをした。

「大丈夫〜？」

「むむ、誰かに噂されているような気がする」

「どうなんだろうねぇ」

ちなみに亮介はさっき宮舘家から頂いたお菓子をお供に勉強中。宿題が他の時期と比べてちょっと多いみたいで、先生は青春できないから僻んでるに違いないと頬を膨らませていた。

結婚＝甘酸っぱいイベントには参加できないって訳じゃないと思うけれど、やっぱり感情の波はその前と比べると穏やかになっていくのかもしれない。

でも誤字に誤字を重ねていた翔太曰く、あそこまで狼狽えた舘さまを見るのはかなり久しぶりらしいから、子供達の成長と共に、また違った驚きや感動があるんだろうな。

「由里ちゃんが、やっぱ大介くんかも〜って思ってくれた説あるわ。まじで。」

「それは怪しいな、だってあの照だよ？」

「だって照はもう、尊敬してますの方の好意の集め方だからさぁ、ほぼ推しみたいな感覚なのかもねん」

「それは言えてる」

「対しての辰哉はラブなニュアンスでモテてる。ガチ恋の方。これは俺が保障する」

「いいのよそれは。自明の事実だから」

「はにゃ？」

彼は誰にでも良い顔をするから危なっかしい。だからこそ照が近くにいてくれていて安心だ。苦い過去を、いつまでも引きずっているのは良くないと思いつつ、連想ゲームであの頃の記憶がちらりと顔を覗かせた。

「てかぶっちゃけ亮平はどうなの？仕事先でもけっこう貰ってきたじゃん」

ふと表情に暗い影がよぎったからだろうか、大介が気持ち声を張って話しかけてくれる。

「大したことないよ。だいたいが日頃の感謝を、って感じのやつだろうし」

「そりゃそうだろうけどさ〜、こっちとしては微妙に面白くない訳よ。あ、亮介がモテる分にはどんどんかましてけ！って気持ちになるから別ね」

「親バカだなぁ」

「おいおい響いてほしいのは前半だぜ？」

「あーうん、反応しにくかったからスルーした」

なんでだよ、と大介が笑う。あたたかくて、掛け替えのない時間。やがて唇を尖らせた亮介がワークを片手にやって来て、大介とまとめて解法を教えてあげることになった。